モータースポーツで証明された、その性能の高さ|読者が選ぶ国産旧車人気ランキング2014【8位】|1968年式 ダットサン ブルーバード1600 SSS Vol.2|2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

歴代オーナーが大切にしてきた個体のようで、これまでトラブルはほぼ皆無。

       
【1968年式 ダットサン ブルーバード1600 SSS Vol.2】

読者が選ぶ国産旧車人気ランキング 2014 8位 510ブルーバード

 この510の象徴とも言えるのが、スーパー・スポーツ・セダンの頭文字を取った1600SSSだ。新設計のL13型1.3LエンジンをボアアップしたL16型1.6LSOHCエンジンは、ツインキャブレター化により最高出力100psを絞り出し、トランスミッションは4速のフロアシフトに変更。さらに専用デザインのメーターやシートを採用するなど、ただのファミリーカーでないことをアピールしている。

 その性能の高さはモータースポーツで証明されることとなる。1600SSSをベースにしたラリーマシンで、1968年のテスト参戦を経て、69年から東アフリカ・サファリラリーに本格参戦。参戦2年目の翌1970年には同ラリーでクラス、総合、チームの各部門を制し、国産車として初の3冠完全制覇を達成。510の実力の高さを世界中に知らしめたのだ。

 また、ブルーバードを語る上で、欠かせないのがトヨペット・コロナの存在だ。「BC戦争」と呼ばれた両車のライバル関係は、熾烈を極めたものだった。T40コロナが1965年に悲願の国産販売台数ナンバー1を獲得し、1968年にカローラに抜かれるまでその地位を守った一方、510は北米での成功もあり、累計生産台数155万2145台を記録する大ヒットを打ち立てている。

 両者ともに譲らない戦いだったが、絶対的に510がコロナを凌駕していたことがある。それはSSSに象徴される高い走行性能とカリスマ性だ。後者は今もなお多くのファンを集める人気の高さが証明している。ブルーバード史上最高傑作とも言われる510は、記録にも記憶にも残る栄光を自動車史に刻んだ。

幼少期に刷り込まれた、匂いと振動を感じて



OWNER’S VOICE/相澤宏明さん

「子どもの頃、家にはクルマがなくて、伯父さんによく乗せてもらっていました。それが510ブルーバードだったんです。その頃にこの年代のクルマ特有のガソリンの匂いや走る振動を刷り込まれたんでしょうね」と幼少時代を語る相澤宏明さん。子どもながらに510がカッコいいと憧れていたそうだ。

 今回の取材車両は4年前に購入。ある雑誌に「買いたし」と投稿したところ、静岡県のI&Iサービスより連絡があり、初期型SSSのホワイトと希望通りの個体が見つかった。念願の510を手にした相澤さんは、橋本オートサービスという信頼できる整備工場と出合えたこともあり、旧車ライフを楽しんでいる。「大事なのは予防整備ですね」と、日頃から510に愛情を注いでいる。

SSS専用装備の3本スポークステアリングなど【写真8枚】

1968年式 ダットサン ブルーバード1600 SSS(P510)
●販売期間 1967年8月~
1972年12月
●全長 4120mm
●全幅 1560mm
●全高 1400mm
●ホイールベース 2420mm
●トレッド前後とも 1280mm
●最低地上高 190mm
●車両重量 915kg
●乗車定員 5名
●最高速度 165km/h
●登坂能力tanθ 0.487
●最小回転半径 4.8m
●エンジン型式 L16型
●エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
●総排気量 1595cc
●ボア×ストローク 83.0×73.7mm
●圧縮比 9.5:1
●最高出力 100ps/6000rpm
●最大トルク 13.5kg-m/4000rpm
●変速比 1速3.657/2速2.177/3速1.419/4速1.000/後退3.638
●最終減速比 3.900
●燃料タンク容量 46L
●ステアリング形式 リサーキュレイティングボール式
●サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリング
●ブレーキ前/後 ディスク/リーディングトレーリング
●タイヤ前後とも 5.60-13 4PR
●発売当時価格 75.5万円

初出:ノスタルジックヒーロー 2014年4月号 Vol.162(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1968年式 ダットサン ブルーバード1600 SSS (全2記事)


2014 読者が選ぶ国産旧車人気ランキング

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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