グループAで海外勢を倒すべく送り出された「限定800台のR」|1987年式 日産 スカイライン 2ドアスポーツクーペ GTS-R  Vol.1|ハチマルレースモデルの超絶技巧

グループAで海外勢を倒すべく送り出された限定800台のR。

       
【1987年式 スカイライン 2ドアスポーツクーペ GTS-R Vol.1】

 スカイラインとレースは切っても切れない関係にある。これまで幾多のレースに参戦し、そのなかで箱スカGT‐Rでの50勝や、R32GT‐Rでの29連勝など、数々の金字塔を打ち立ててきた。それほどまでにモータースポーツはスカイラインの代名詞であり、多くのファンを魅了してきた。

 なかでも高い人気を誇ったのが、1985年から開催された全日本ツーリングカー選手権(JTC)。グループA規定で行われるこのシリーズに、日産は当初DR30でディビジョン1に参戦していたが、フォードやBMW、ボルボといった海外勢に苦戦を強いられていた。そこで、第2世代のHR31のときには、エボリューションモデルの投入を決定。それがGTS‐Rだ。

 ホモロゲを受けた車両ならは「ベース車を改造して年間500台以上生産すれば、それも対象になる」という付則を利用して開発されたGTS‐Rは、限定800台で発売。即日完売で購入者は抽選で決められるなど、その注目度はかなりのものだったのだ。

 そして、搭載されるRB20DET‐R型エンジンは、標準のGTSに搭載されるRB20DET型エンジンと基本を同じとしながらも、大風量のギャレット製T‐04Eタービンやステンレス製等長エキゾーストマニホールド、GTSよりも約5・5倍もの表面積を持つ大型インタークーラーやφ60mmの大径スロットルチャンバー等を採用。最高出力は、カタログ値でGTS(後期)の190psより20ps高い210psにとどまるが、潜在的には400psオーバーのポテンシャルを持つといわれていた。変更点はエンジンだけにとどまらず、固定式のフロントスポイラーや大型リアスポイラー、イタルボランテのステアリングやモノフォルムバケットシートなど、エボリューションモデルらしい特別装備が採用されていた。

1987年式 日産 スカイライン 2ドアスポーツクーペ GTS-R (HR31) 主要諸元
全長×全幅×全高(mm) 4660×1690×1365
ホイールベース(mm) 2615
トレッド前/後(mm) 1425/1420
車両重量(kg) 1340
エンジン型式 RB20DET-R型
エンジン種類 水冷直列6気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 78.0×69.7
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 210/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 25.0/4800
変速比 1速3.321/2速1.902/3速1.308/4速1.000/5速0.838/後退3.382
最終減速比 4.375
ステアリング ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ストラット/セミトレーリングアーム
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205/60R15(前後とも)
発売当時価格 340.0万円

伝統の丸形テールランプを配したリアビューなど【写真6枚】

初出:ハチマルヒーロー vol.19 2012年11月号(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1987年式 日産 スカイライン 2ドアスポーツクーペ GTS-R(全4記事)


関連記事:スカイライン 記事一覧

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo:MOTOSUKE FUJII/藤井 元輔

RECOMMENDED

RELATED

RANKING