レーシングメカニズムを手に入れ、凶暴さを増したS20型改2.5L|1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.1

ノーマルのように見えるフロントマスクだが、実はリスタード製のFRPバンパーを装着し、オーバーハング部の軽量化が図られている。ヘッドライトはロービーム側のみマーシャル製に交換している。

       
【1972年式 日産 スカイラインHT 2000 GT-R Vol.1】

 旧車の楽しみ方は十人十色。オリジナルにこだわる人もいれば、自分好みにチューニングを楽しむ人もいる。ここで紹介する大渕進さんはまさに後者で、ノーマルでは満足できずエンジンから足回り、そしてエクステリア&インテリアまで好みのパーツを組み合わせ、現代のチューンドカーと遜色ないポテンシャルとルックスを手に入れた。

 とはいえ、大渕さんはもともとチューニングカーばかり乗り継いできたわけではない。レーシングエンジンに匹敵するメカニズムを持つS20型に引かれ、これまでにZ432を2台とハコスカGT‐Rを乗り継いできた熱狂的なS20型ファン。ただし、これまでの愛車はどれもオリジナルで楽しんでおり、このGT‐Rもしばらくはノーマルで乗っていたという。しかし、エンジントラブルを機に、知人からアール・ファクトリーを紹介してもらい、2.3L仕様を製作。それ以来、チューニングの道にハマっていったという。

 こうした経緯でチューニングに目覚めた大淵さんの愛車は、ゴールドのボディカラーが目をひく。もとはシルバーだったが「珍しいから」という理由でこのカラーにオールペイント。また、純正よりも15mmワイドなリスタード製オーバーフェンダー、当時モノの純正オプションリアスポイラーなどを装着し、スパルタンさも表現する。

Vol.2に続く



オーバーフェンダーはリスタード製の15mmワイドタイプをチョイスし、よりマッチョなシルエットを実現。


純正オプションで用意されていた当時モノのリアスポイラー。非常にレアなアイテムだ。


日産のレース用マグホイールはフロント8.5J、リア9.5Jというサイズ。フロントブレーキはアール・ファクトリーから発売されているAPレーシング製の4ポットキャリパーキットを装着。フェンダーの「Nissan」のエンブレムは輸出用のレアもの。リアはDR30のパーツを流用してディスク化。


マフラーもタコ足に合わせてアール・ファクトリー製をセレクト。出口はハコスカにマッチするφ50mmデュアルで、オールステンレスならではの乾いた迫力のあるサウンドを響かせていた。


アール・ファクトリーによって排気量を2.5L化されたS20型エンジン。鮮やかなスカイブルーのヘッドカバーをはじめ、各部の処理は非常に美しい。


ラジエーターはアール・ファクトリーオリジナルの3層を装着して冷却性能をアップ。あえて真ちゅう製を採用しているのは、アルミ製より自己放熱性が高いためだ。ファンベルトのプーリーなども軽量タイプを装着。


タコ足の真横にあるボルト部分には、本来チェーンテンショナーのボルト&ゴムキャップが付いている。しかし、カムギアトレーンシステムを装着すると不要になるので、通常のボルトを代わりに挿入してある。


純正のデフはR192だが、2.5L化によるパワーアップに合わせて容量の大きいR200に交換されている。さらに、放熱性の高いアルフィンカバーも装着されている。


運転席は抜群のホールド性を誇るレカロ製のフルバケットシートのSP-G。助手席はリクライニング可能なセミバケットのSR-Ⅱを装着する。4点式フルハーネスはHPI製だ。 

1972年式 日産スカイラインHT 2000 GT-R(KPGC10)主要諸元
●外装:ボディ総はく離フルレストア、プロテック製フロントスポイラー、リスタード製オーバーフェンダー/FRPバンパー/カウルトップ、アール・ファクトリー製FRPボンネット、純正リアスポイラー、マーシャルヘッドランプ、LEDテール
●エンジン:アール・ファクトリーS20型改2.5L仕様/300度カム(IN/EX)/カムギアトレーンシステム、真ちゅう3層ラジエーター、ATIダンパープーリー
●吸気系:ウエーバー48DCOE
●排気系:アール・ファクトリー製マフラー/φ42.7mm等長タコ足
●足回り:アール・ファクトリー製オリジナル車高調
●ブレーキ:F:APレーシング製4ポットリャリパー、R:DR30用キャリパー&ローター(R)、ケンメリ用マスターシリンダー
●ホイール:日産レース用マグホイール F:15×8.5J R:15×9.5J
●タイヤ:BS・ポテンザ F:RE11 195/50R15 R:225/ 50R15
●内装:マッハレプリカステアリング、純正改スピードメーター、エリオット製タコメーター、大森製追加メーター(水温、油温、油圧)、レカロ製SP-G(運転席)/SR-Ⅱ(助手席)

掲載:ノスタルジックスピード 2014年11月 Vol.005 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

2.5L化によるパワーアップに合わせて容量の大きいR200に交換されたデフなど【写真10枚】

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Motosuke Fujii/藤井元輔

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