誰しもが通ったであろう「サーキットの狼」という漫画。この作品が登場するまで実在するクルマを描き切った作品がなかったことに加え、漫画に登場するスーパーカー群を乗り継いできた作者によるリアルなエピソード。そして、1人の暴走族がF1レーサーへと成長する過程を丁寧に描いたストーリーに酔いしれた。そんなサーキットの狼世代に向け、往年の名車とともにじっくりと堪能できるシリーズをおおくりする。
プロになった風吹の相棒
シルエットフォーミュラに挑む
【 1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ Vol.2】
【1】から続く ランチア・ストラトスを語るうえで欠かせないのが、ディーノ308GT4などを手がけた名門カロッツェリア、ベルトーネの存在だ。歴史をさかのぼると1970年のトリノショーでベルトーネは「ストラトス・ゼロ」を発表。「ストラトス=成層圏」の名が披露され、後に数奇な運命を歩んだストラトスのストーリーはここから始まった。
ストラトス・ゼロのベースは、1965年からラリー競技の世界で活躍していたランチアのフルビアクーペ。スポーツモデルとしての資質を秘めたクルマであることには違いなかったといえる。
しかし、次なるラリーマシンを模索していたランチアにとって、ストラトス・ゼロが、ラリーで勝てるかどうか、という点では疑問が残ったのである。
というのも、当時、ランチアは会社の転機を迎えていた頃で、次なるラリーカーが必須であったタイミング。
1969年にフィアットの傘下に入り、新たなスタートを切ったが、大衆車を造っていた大規模な自動車メーカーのフィアットと、高性能なクルマを追求してきたランチア、自動車会社としてのバランス構図はひずみを生んでいた。
>>【画像24枚】オーバーフェンダーがさらにデザインのアクセントとなっている非常に低い姿勢を保つフロントビューなど 1974年式 ランチア ストラトス HF ストラダーレ
SPECIFICATION 諸元
全長×車幅×全高●3710×1750×1114mm
ホイールベース●2180mm
トレッド 前/後●1430mm/1460mm
車両重量●980kg
エンジン●水冷65度V型6気筒DOHC 横置きミッドシップ
総排気量●2418cc
最高出力●190ps/7000rpm
最大トルク●23.0kg-m/4000rpm
生産年●1974~191975年
生産台数●492台
生産国●イタリア
※スペックは池沢早人師ミュージアムに準じる。
【3】に続く初出:ノスタルジックヒーロー 2017年12月号 Vol.184
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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