ヒーローの棲むガレージ
取材にうかがってみるとグレーのシャッター扉が1枚。シンプルな印象で、逆に中の様子がどうなっているのか、かえって想像力をかき立てられる結果になってしまった。中にはランチア・デルタ・インテグラーレ16VとホンダZの2台が並ぶ。ともにレース仕様だ。聞けば、元は倉庫だったとか。できる作業は自分でする。DIY派オーナーが造り上げたガレージでもない車庫でもない「シャコ」だという。
【 1990年式ランチア デルタ インテグラーレ 16V & 1973年式 ホンダ Z Vol.2】
【1】から続く オーナーのカーライフは、免許取得と同時に購入したダイハツ・シャレードに始まるが、1989年、発売と同時に手に入れたユーノス・ロードスター(NA)によってDIYに開眼。販売店を拠点にオーナーズクラブの「PROJECT ONE」を結成。そこのメカニックから工具を借りてロードスターのメンテナンスを体験したことがきっかけになったという。
変化が起きたのは1992年に「普段の足」として1973年式ホンダZを購入してからだった。このクルマで旧車ミーティングに顔を出すようになったものの「あまりのボロボロさ加減に悲しくなって」とレストアを決意。DIYによる1年がかりの作業となったが、徹底して手を入れたことで見違えるような状態に。このクルマが、現在車庫の一角を占有するサンセットオレンジのホンダZレーシング仕様だった。
レストア作業は見よう見まねだったものの、ひとつずつ根気よく作業したことで、メカニズムに対する理解度と自信は深まった。そして筑波サーキットで開催された軽自動車による旧車レースの観戦を機に、自分も参加してみようという気になり、やはりDIYでレース仕様車造りに挑戦。
エンジンブロー→400ccにスケールアップ→初レースでエンジン焼き付き、という障壁を乗り越え、最終的には2位表彰台を得るまでに発展。こうした経験が伏線となり、2004年、ランチア・デルタ・インテグラーレ16Vを格安でネット落札。
>>【画像18枚】コンプレッサーにガレージジャッキ、オイル類。整備専用スペースが持てたことで作業を中断したままにできることがうれしいという。まさにDIY派の夢かもしれないスペースなど>> ガレージ入り口の壁面には、これまで参加したイベントのゼッケンやそれに類するものが飾られている。ともすると殺風景になりがちな作業スペースの雰囲気を変えてみたという。
>> 左側のロッカー、よく見るとオフィス用書類ロッカーであることに気付く。あのグレーのロッカーをツールボックスと同じ赤で塗り替えるとこんな雰囲気に。お見事です。
>> 作業テープルも自作。オーナー、どこへ行けば何が手に入るか、DIYセンターの売り場レイアウトがすべて頭に入っているという。さすが、のひと言です。
【3】に続く初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1990年式ランチア デルタ インテグラーレ 16V & 1973年式 ホンダ Z(全3記事)関連記事: ヒーローの棲むガレージ 関連記事: ガレージ 【1】から続く