「ベレG」。日本で初めてGT(グランドツーリズモ)の車名が与えられたいすゞベレットGTの通称である。イタリアのアルファ ロメオをイメージさせるフォルム、当時の先端技術を満載した洗練の走り。オリジナルを大切にするオーナーが大半を占める名車の1台。だからこそ、余計にこういうのもアリではないかと思う1台を紹介する。そのオーナーはアモン旧車倶楽部の代表、小西さんだ。
【1972年式 いすゞ ベレット 1800GT 〜2017〜 Vol.2】
【1】から続く 小西さんは、ヒストリックカーレースに出ることを考えて手に入れたベレG。そのため、チューニングの方向性は、オリジナルスタイルを大事にしたサーキット仕様。フェンダーはオーバーサイズ化するとしても、脱着可能なオーバーフェンダーを取り付ける構想だった。それが、手元を離れ、再び帰ってきた状態がこの巨大なブリスターフェンダー仕様。目の当たりにした時の小西さんは、しばし呆然となったそうだ。
聞けば前オーナー(正確には前々オーナー)が自分好みのアルファロメオ1300GTAのレーシング仕様をイメージしたのが、このベレGが今の姿になった理由。ドレスアップ的なデフォルメではなく、本格的なレースが目的の本気のチューニング。そのため、走りの性能はかなりハイレベルで、ノーマル仕様とは一線を画す刺激を味わえるのだ。
パワーユニットはジェミニZZ‐Rに搭載されていた名機G180DOHCエンジンに換装。排気量が2080ccまで拡大されたハイコンプ仕様で、どこから踏んでも加速する余裕のパワーとトルクを発生させる。レーシーなサウンドのマフラーはエキマニからアッセンで交換済み。サスペンショッンは前後ともビルシュタインで強化、デフは2ピニオンLSDが組まれている。
>>【画像23枚】タイヤは前後ともファルケンZEIEXの205/60R13、フロント8.5J、リア9.5Jのロンシャンのホイール、横から見るとさほどワイドさを感じない丸味のあるボディデザインなど。
四輪独立懸架形式となるベレットのフットワーク。ダンパーをビルシュタインに交換し、路面追従性が一段と向上している。フロントブレーキは純正のディスク。オリジナルでも制動力は十分だそうだ。
リアのブレーキもオリジナル。こちらは放熱用のフィンをドラムに配したアルファンドラム式。当時モノのハイテクである。
重厚な造りのシャシー。この時代のクルマはちょっとやそっとじゃへこたれない。リアサスの横置きリーフがノスタルジック。デフは2ピニオン式のLSDを内蔵する。
往年のツーリングカーをイメージ。ブリスターフェンダー化した、べレGのレーシングスタイル
1972年式 いすゞ ベレット 1800GT(PR95)SPECIFICATIONS 諸元
■ エクステリア:ワンオフブリスターフェンダー仕様
■ エンジン:G180型換装、2080ccハイコンプ仕様)
■ 吸気系:ソレックス44PHH×2
■ 点火系:フルトラ化
■ 排気系:タコ足、マフラー交換
■ 駆動系:2ピニLSD
■ サスペンション:ビルシュタイン製ショック
■ インテリア:ナルディ製ステアリング
■ タイヤ:205/60R13
■ ホイール:ロンシャン(F)13×8.5J (R)13×9.5J -4
■ 販売価格:148万円(税込み)
【3】に続く初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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