「GTとは……Gran Turismoの略」国内GTの歴史を開いた通称「ベレG」|1970年式 いすゞ ベレット1600 GT Vol.1

丸目4灯式のヘッドライトとメッシュタイプのグリル、メッキバンパーの組み合わせが、スパルタンで力強いフロントマスクを演出している。

       
【1970年式 いすゞ ベレット1600 GTVol.1】

 1963年10月に東京・晴海で開催された「第10回全日本自動車ショー」に展示された5人乗り乗用車ベレット。同年の11月に、1.5Lガソリン車の1500と1.8Lディーゼル車の1800ディーゼルが発売され、それぞれにデラックスとスタンダードのモデルが用意されていた。

 翌1964年4月には、レース技術をフィードバックした本格的なGTカーであるベレット1600GTがデビュー。これが国内において初めてのグランツーリスモを冠したクルマとなる。

 当時のカタログには、「GTとは……Gran Turismoの略。FIAのインターナショナル スポーティングコード附則Jの項目に『経済性を考慮せず最高性能と最大の快適性を求める顧客のために、少量製造される車』と定義されています」と記されている。

 ベレットGTに搭載されていたエンジンは、G160型1579cc直列4気筒OHVで、SUツインキャブの採用によって、88㎰/5400rpm、12.5kg-m/4200rpmを発生。インテリアにはバケットタイプのシートを採用して、当時のクルマとしては、トップクラスの優れた動力性能と乗り心地、高速安定性を誇っていた。


リアフェンダー左右に輝く「Bellett」のエンブレムや、ベレットGTの特徴であるルーフのセンターにあるアンテナ など【写真15枚】




マイナーチェンジとともにミラーデザインも変更されている。この年代の1600GTや1800GTには、砲弾型タイプのフェンダーミラーが採用されていた。





テールランプの右側下に「1600GT」のエンブレムが、誇らしげに付けられている。







奥多摩湖の雪上にたたずむブリティッシュグリーンのベレット1600GT。クーペボディは基本的には、1600GT、1800GT、1600GTRすべて共通の2ドアモノコックとなる。


【2】【3】に続く

1970年式 いすゞ ベレット1600 GT(PR91)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4015mm
全幅 1495mm
全高 1335mm
ホイールベース 2350mm
トレッド前/後 1260/1240mm
最低地上高 205mm
室内長 1480mm
室内幅 1240mm
室内高 1060mm
車両重量 940kg
乗車定員 4名
最高速度 170km/h
0-400m加速 16.6秒
登坂能力sinθ 0.429
最小回転半径 5m
エンジン型式 G161型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 1584cc
ボア×ストローク 82.0×75.0mm
圧縮比 9.7:1
最高出力 103ps/5800rpm
最大トルク 13.6kg-m/4200rpm
変速比 1速 3.467/2速 1.989/3速 1.356/4速 1.000/5速 0.864/後退 3.692
最終減速比 3.727
燃料タンク容量 40L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/ダイアゴナルリング式スイングアクスル
ブレーキ前/後 ディスク/ドラム
タイヤ前後とも 6.45-13,4PR
発売当時価格 83万円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1970年式 いすゞ ベレット1600 GT(全3記事)

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photo : RYOTA SATO/佐藤亮太

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