怒涛のネガキャンを見せつけるかのように、ボディジャッキで車体後部をリフトアップした独特のスタイルを披露するK12マーチ。
実のところ、このリフトアップが本当に魅せたいポイントではないとのこと。
「このマーチは購入するときにすでに今の姿にすることを想定していました。サスをガチガチにしてストロークさせなければ、シャコタンやキャンバーをつけるのは意外に簡単なんですよ。でも、このクルマはフェンダーアーチに沿ってサスペンションをしっかりとストロークさせたくて、試行錯誤を繰り返しました」
とはオーナー。元々、K12マーチのリアサスペンションは、アームが左右連結されているトレーリングアームにコイルを組み合わせた仕組み。キャンバー角をつける場合は、車軸を傾けてタイヤを装着するが、ストロークに合わせてその角度のまま上下動するため、フェンダーにヒットしてしまう。そこで、アームを左右で分断し、それぞれにリンクアームを装着して変則ダブルウィッシュボーンに大変身! あえて通常とは逆に、ストロークに合わせてキャンバー変化が大きくなるようにアーム類をセッティング。これによって、車高を下げると極端にネガキャンになり、フェンダーの内側に沿ってタイヤが動くのだ。
そして、この足回りの大加工を魅せるために油圧ジャッキを装着したというワケ。
なお、油圧ジャッキ装着のキッカケは、’15年のSNJ東京で見たエアジャッキで空中浮遊するエスティマに衝撃を受けたから。ただ、そのままトレースしても面白くないので、これは油圧で挑んだってワケだ。足回りをアピールする手段として誕生したこのギミックは、ショー会場でも大盛況で、リアが浮いたマーチの周囲には、多くの人だかりができるそうだ。
>>【画像全8枚】こだわりの足回りをチェックする!>>フロントはロワアームを延長&加工し、ワンオフの車高調でロワリング。クリアランス確保のため、エンジンとトランスミッションを約40mmレイズドしている。さらに触媒部分も上方にギリギリまで持ち上げて底面を極力フラットに。
>>トレーリングアームの左右を中央でカットして分割。これにリンクアームをつけて、あえてキャンバー変化が多くなるセッティングの足回りに。これによって車高を下げると大きくネガキャンがつく仕組み。ジャッキアップした上で、エアシリンダーでホイールを上下させる機構はイベントでのデモンストレーション用で、車高調整はまったくできない。
>>ホイールはワーク・グッカーズの14インチで、フロント9J、リア10Jの極太リムを履く。サスペンションの上下動の軌跡にもこだわって、フェンダー内側ギリギリでタイヤが回る。
>>ボディジャッキを設置したリアビュー。大加工したリア足を空中浮遊させることでショーアップしている。
>>いかに自分の思い描いた軌跡を描きながらサスペンションがストロークするかを徹底して考えた結果、このようなことになってしまったと笑うオーナー。作業のすべてを友人と二人で行ったという究極のプライベーターだ。
>>トランクスペースから見えるのは、オリジナルサスペンションのリンクマウント部分の補強用タワーバー。ここに工業用油圧シリンダーをセットしてレースカーのようなボディジャッキを設置。スイッチ操作でリアが持ち上がる驚きの仕掛けとなっている。足回りを魅せるための油圧ジャッキだ!
>>トランクルームの油圧シリンダーは、フロアに空いた穴から突き出して伸びる構造。先端の赤い丸鉄板が地面に設置する部分。ジャッキアップすることで変化するシリンダーの角度変化にも対応するために、ピロ化されている。
『カスタムCAR』2018年1月号掲載
BASE CAR:マーチ(K12) 2006年型