ゴミ捨てからタケノコ掘りまでマルチに使えるワーキングスペック軽トラ

       
軽トラといえば農家の運搬用だったり工事現場で資材や工具を運んだりが使用目的のほとんど。最近でこそカスタムベースとして注目度が高まってきているけど、本来は現場グルマってのが正しい使い方なワケ。そんな軽トラックのキャラクターを正当進化させ、過剰なまでに走破性を高めちゃったのが徳島県のアウトクラス。2012年10月号で表紙を飾ったエブリイの製作ショップが、またもやブチかましてくれました!

エブリイでは、単にオフロードタイヤを入れるためにリフトアップを行ったものの、今回のキャリイはひと味ちがう。今回のテーマは、車体を上げるだけでなく、斜面もガレ場もがっちりタイヤを喰わせられる、しなやかな足を投入すること。要するに、本業のジムニーを作ると同じコンセプトでキャリイを作ってしまったというワケだ。

そもそも新たにキャリイを作るきっかけは「ライフワークのタケノコ掘りで使いたいから」というもの。竹やぶの斜面を登るだけなら、ジムニーで必要十分。しかし大量のタケノコをジムニーに積んで、斜面を下ると必ずタケノコが運転席に転がってきて危ないと。「このままではいつか大事故が起こる!」そんな必要に際して、タケノコを積んでも運転席に転がってこない軽トラに注目。ジムニーの足を組み合わせればイケルんちゃう? そんな発想で前代未聞の「タケノコ掘り仕様」製作が始動したってワケだ。

足作りのノウハウは本業のジムニーメイクで手慣れたモノ。オリジナルでリリースしている競技用のリーフスプリングや、リボルバーシャックルといったジムニー御用達パーツをふんだんに搭載。その甲斐あって、クロカン四駆に匹敵する足回りが完成。タケノコ掘りも捗るリアルワーキングトラックに進化!

あくまでもタケノコ掘りという趣味(仕事?)のため、場合によっては会社で出たゴミを捨てるために働き続ける運命のキャリイ。コキ使われるのは必至でキズや汚れは当たり前! しかし、だからといってみすぼらしいままにしないのがアウトクラスの流儀。

表紙を飾ったエブリイ同様に、アーミーテイストなつや消しオリーブグリーンへのオールペンは、隠れる必要はないにしても竹林迷彩として役立つカラー。無数のリベット攻撃やジムニーシエラ純正グリルガードとフォグランプで顔周りも強化済み。ミラーやリアバンパーはジムニー純正パーツを投入しつつ、ルーフキャリイアはエブリイ製作時に出た廃材を使用してショートラックをメイク。リサイクル&リユースで地球環境にも優しく、そのぶんだけタケノコが採れることが期待できる……という下心満載のエコカスタムなのだ。

極めつけはバブリイバンパーに組み合わせるジムニー純正の縦フィングリル。コレだけでも十分ジムニー臭さを漂わせるものの、あえて強調しないあたりが玄人じみた演出。分かる人のみがニヤリとする隠れキャラを盛り込んでいるというワケ。こうして余すところなくジムニーをしゃぶり尽くしたパーツ構成で、ジムニー風に武装強化を施した。

何よりキモになるのはタイヤチョイス。普通ならインチアップしてATV用や大径のオフロードタイヤを組みたくなるところを、敢えて12インチで純正サイズをキープ。それはこだわりの耕耘機タイヤをセットするための必須条件。なんでもこのタイヤならぬかるみでもガレ場でもグイグイ進んでくれるってのが選んだ理由。竹林での機動性を得ることで極上のタケノコをゲット! まさにタケノコ掘りのプロゆえの判断ってわけなのだ。

写真13点>>ミリタリーテイストあふれるイカした軽トラの全貌!



>>ジムニー純正のグリルガードはもちろん、JA型のグリルを切った貼ったで違和感なくセット。さらにBUBRYのバンパーはカットして組み合わせ。トドメは縞板を使ったバッドフェイス風アレンジで強烈なワル顔メイクを完成。ちなみにこの縞板はライトの凹凸に合わせてプレスするなど、芸の細かさも見逃せない。


>>フロントに続いてリアセクションもジムニーをフィーチャリング。ベッドから伸びる純正テールランプはブラケットからカットし、これまたJA型の純正バンパーをセット。違和感ないどころか男前なフォルムに激変!


>>ジムニー用をカットして短縮したキャリアは、前作AGE-BUBでストレッチしたキャリアの余り物を再利用。デューリーマーカーやワークライトなんかもセットして装飾&実用度がさらにUPしたぞ!



>>パーツが間に合わなかったということで、フロントサスはスペーサーで4インチアップ。今後はオリジナルで製作するスプリングと、カヤバにSPLオーダーしたロングショックを組み合せ、ジムニー並みの伸びる足に進化する予定〜♪


>>リアサスはオリジナルでリリースする競技用のリーフスプリングと、リボルバーシャックルを組み合せで5インチアップ。特にリボルバーは可動域が劇的に広くなるためクロカン車ではリーサルウエポンとまで言われるアイテム。まんまジムニーを作る感覚で仕上げているのだ!


>>使用目的が「タケノコ掘り」というだけあって、道なき山を登るための装備も充実。特にフロア下は強打して歪むとドア開閉ができなくなるため、アンダーガードをガッチリと製作。どんだけハードな走りを想定しているのやら……。


>>組み合わせるのは定番のブロックタイヤやATVタイヤではなく、水かきのようなパターンを持つ通称“耕耘機タイヤ”。このタイヤのおかげで砂地や泥、岩とどんな路面でもスタックすることなく走れちゃう。とはいってもアスファルト上のグリップ力はほぼ皆無なのが難点。


>>見た目だけのリフトアップではなく、伸びることでちゃんと路面を捉えるクロカン足がハイライト。このアイデアはジムニー専門店だからこそこだわった、究極のワーキングトラックなのだ。


>>フロントはストラットとメンバーにスペーサーを噛ませ4インチアップ。リアはジムニー用サスを流用して5インチアップ。オフロードタイヤも難なく収められるクリアランスはあるものの、「泥を掻く」性能にこだわった耕耘機タイヤでファニーなフォルム。




カスタムCAR2013年5月号掲載
BASE CAR:スズキ・キャリイ 2005年型
SOURCEアウトクラスホールディングス

PHOTO/南井浩孝

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