ベスト5 日本列島地獄旅 人魚姫と観音様を帯同する国道の貴公子 重香丸

「男の人生、魚屋稼業」と自らの指針を高く掲げる。



デイシーンは濃厚な飾りとペイントで、ナイトシーンはフェンダーとキャブハシゴにまで装着されたイエローマーカーで注目を誘う。各アンドンとペイントの文句一つ一つがシブい。

浪花会会長の重香丸だ。このトラックは4台目になる。

「鮮魚を選んでいるから、3年半前に新車にしたときを描きたいと考えたんです。そこでアンデルセンの人魚姫をモデルにした。ちょっと女っぽすぎるというトラッカーもいるけど、オレはフェミニストだからいいんじゃないの」。

カツオがひと段落し、現在はハマチ、アジを運んで関西地方を中心に走っている。

改造に300万円かかった。 浪花会の特長はアンドンの派手さ。したがって夜はまさに満輪飾。盛り場のネオンも顔負け。

「全開で点灯するには、バッテリーは24Vが4個、ダイナモは25kW。ノーマルの3倍ないともたないよ。レギュレーター、電気関係の改造で約70万円はかかっている。リレーさせると、さらに50万円かかる」。


内装の改造費用は約100万円。居住性と操作性を確保しながら隅々まで飾り込まれている。

長男と長女の名前から「重香丸」とつけたそうだ。浪花会の会長として人望もある。今回浪花会が復活したのも彼に負うところが大。


観音様が後続車にニッコリほほえみかける。ちなみに浜木綿(はまゆう)とは、関東南部以西の暖かい海岸砂地に生育するヒガンバナ科の多年草のこと。魚屋稼業ならではのチョイスだろう。

「カレンダーも制作中です。期待して下さい」。

文:編集部 カミオン1984年12月号をもとに再構成

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