【森、山、海に暮らす】海に臨む家もクルマも、すべては波乗りのため。

Base Car:1995年型 トヨタT100エクストラキャブ

       
かつて遊びに行ったハワイのサーフィンが原体験。若かりし頃から憧れたのは、アメリカの潮風を感じる空気感。波乗りを中心に、クルマ選びから家作りまで、理想を実現させた星野さんの暮らしをお見せしよう。

ココロとカラダを癒やしてくれるマウイのビーチハウスが原風景

 眼前に須磨の海が広がるシャービーシックなビーチハウス。そこに横付けされたフルサイズピックアップ、トヨタT100……。すべてが波乗りのためのライフスタイルで、それをカタチにした人物が、星野元寿さんである。



 原風景は、星野さんが19歳、大学2年生の時、ウインドサーフィンの合宿で訪れたマウイ島のホキーパにある。

「ウインドの聖地として知られるホキーパは、世界から一流選手が集まる場所。ハンパないうねりで、ウインド初心者が乗れるようなところじゃありませんでした。ひたすらハードな練習を乗り越えられたのは、滞在していたビーチハウスのおかげ。海の前で椰子の木があるビーチハウス。使い古された感じの佇まいや風通しのよさなど、疲れたココロとカラダを癒やしてくれました。その時、いつかこんな家を建てる仕事をしたいと思ったんです」



 その後、食品専門商社を経て、マンションデベロッパーに就職。ふと立ち寄った本屋で出会ったのが、サーフィン雑誌「NALU」だった。かつてマウイで出会ったようなビーチハウスが掲載されていた。 「こんなライフスタイルを探している人が絶対いるはずだし、それを叶えるための仕事を、今こそすべきだ!」

 そんな想いから星野さんが立ち上げたのが、サーフ&ビーチスタイルの住宅やインテリアを提案する会社「ウォーターズエッジ」だった。今回はそんな星野さんの自宅にお邪魔し、ライフスタイルをのぞかせてもらった。

心地よい風が吹き抜ける、シンプルだけど洗練された暮らし

 玄関を開けると、いくつものボードが置かれた土間が出迎えてくれる。いわゆる物置ではなく、住人のライフスタイルがひと目で分かる空間である。



「どうしたらボードを機能的に置くことができて、家のデザインにマッチするかを考えました。限られた空間では犠牲も必要。廊下やリビングのドアなどをなくすことで実現しています」

 1階は、4帖の土間とオープンキッチンのある23.5帖のリビングのみ。その空間をビーチスタイルに仕立てるのが、あえて毛羽立たせてラフに塗った杉板張りの内壁と、テーブルや照明といった調度品である。

「大学在学中に1年間アメリカに留学していたんです。そこで感じたのが、シンプルだけど洗練された感じ。あの空気感をカタチにしています」



 19歳のころのマウイ合宿に話を戻そう。ビーチハウスとともに青年のココロに残ったのが、ピックアップトラックだった。なかでもボードを積み込んで走っていたトヨタT100はとにかくカッコよかった。そんな想いから、帰国後に探し出したのが、ベージュにオールペンしたこのT100だった。

「20年以上、時間をともにしてきましたが、ますます好きになっていきますね。いろいろと修理をしながら、これからもガシガシ使っていきますよ」

 19歳の時に見た原風景をひとつひとつカタチにしていく星野さん。「すべては波乗りのために」というシンプルなライフスタイルは、見ているだけで心地よい風が吹き抜けていくようだ。

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>>関西におけるウインドのメッカが、須磨の家から20分ほど走ったところにある明石・林崎海岸。外海のようなうねりが特徴だ。最高の風がやってくるまでの時間は、スケボーでサーフィンのイメトレを行うそう。



>>ハイラックスより一回り大きいフルサイズピックアップトラックとして、1992年に登場したT100。北米向けに販売されたクルマで、モデルイヤーとしては1993年から1998年まで存在する。エンジンは直4のラインナップもあるが、現社はV6 3.4ℓを搭載。ボディはシングルキャブとエクストラキャブの2タイプがあるが、同一シャシーのため、シングルキャブ+ロングベッド、もしくはエクストラキャブ+ショートベッドの組み合わせになる。星野さんはキャビンの広さを考慮し、エクストラキャブを選択した。


初出:OUTDOOR あそびーくるBOOK 2020年 Vol.07
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1995年型 トヨタT100・エクストラキャブ

文 / 岡本晃 写真 / 松井仁美

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