【コダワリのギア】ヴィンテージギアとともに、独り釣行。

Base Car:1979年型 マークⅡ・グランデ(MX41)

       
人知れぬ野池を目指し、朝5時起きからの独り釣行。静まり返った山里で、聞こえるのは排気音と踏みつける砂利の音のみ。自分だけの空間でただ無心に竿を振るために。

昭和旧車MX41マークⅡと超ヴィンテージギア

クルマも釣りもアナログが好き。ただ魚を釣る行為だけが好きなのではなく、朝起きてからの移動、そしてカヤックに揺られ竿を振る瞬間まですべての空気感を楽しみたい。そんな粋な楽しみ方をする玉井さんの愛車は丸目が特徴の昭和旧車、コロナ・マークⅡ。休日はコイツに乗って、山奥の人知れぬ池や沼に出かけるのだ。



 この日の目的地は千葉県某所にあるとあるスポット。一見しただけではクルマが入っていけるか躊躇するような細道を登って行くと、道を覆っていた樹木が突然開け、そこに静まり返った池が姿を現す。ブルーギルの魚影も目視できるほど澄んだ水と水面に浮かぶ水草。地下水が長年かけてたまってでき上がった自然の水溜りは、見るからに魚のパラダイス。大小さまざまな釣果が期待できる絶好の環境だ。

「今日はこのへんの道具で釣ろうと思って。竿もリールもルアーも、年代的には20世紀初頭くらいのモノかな」



 おもむろにルーフに積んだカヤックを水面に降ろしつつ、今日の相棒を軽く紹介してくれた。そもそも釣り自体、道具によって釣果は大きく変わる。特に昔のルアーは現在のように解析技術によって水面での動きを計算した設計がされているわけではなく、製作者のヒラメキによって形作られているものが多い。そのため魚を釣るのであれば、現代のルアーを使用する方が断然有利。しかしその時代の空気感まで含めて楽しみたいから、性能としては劣る古いギアを選ぶのだ。



 そんな彼が普段の足として活用するMX41マークⅡは、趣味の釣りやサーフィンに使うためフルノーマルだ。

「今日もそうですが、サーフィンでも基本的に悪路が多くて。安心して走るにはいじらない方がいいんですよ」



 クルマも釣り具も古くとも、扱い方を理解していれば問題はない。結局のところ道具である以上、どう使うのか? が一番重要。そこにこだわる彼だからこそ、この釣りスタイルなのだ。

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>>竿ひとつとっても年代や素材により、かなりクセが違うため、使い方も異なってくる。この日使用したのは1926年製のヘドン・バンブー。竹製のためしなりは抜群で、リールは1930年代のチーフドワジャック製を組み合わせる。



>>そのほかにも銅製のウォーレンフォーキャスターやスチール製のブリストル、スチール製で中空となるトゥルーテンパーなど、素材やメーカー、さらには年代まで違う様々なロッドをその日の気分によって使い分けているのだ。


初出:OUTDOOR あそびーくるBOOK 2019年 Vol.03

(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

Base Car:1979年型 マークⅡ・グランデ(MX41)
オーナー:玉井一禎

文 / 渡邊大輔 写真 / 南井浩孝

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