20年20万キロ走ったとは思えない極上ソアラは、雨を避けてやってきた|85年式 トヨタソアラ 3.0GT リミテッド Vol.1

       

技術は時間を超越する

撮影指定場所で待ち合わせると、オーナーは開口一番こう言った。

「こっちの方に雨雲が見えたんで、それを迂回しながら走ってきたんですよ。いやー、降らなくてよかったですね」

 雨天未使用のクルマだとは聞いていたが、それはここまで本気だった。そしてそれが当然と思うほど、このソアラは美しいボディを持ち、全身から隙のないオーラを発していた。しっかりとお金を掛けたレストア物かと思って質問すると、このソアラは現オーナーが2012年に20万kmを走行した中古車として購入し、この外装ペイントはオリジナルのままだと教えてくれた。

 「20万㎞!?」。何度も頭の中で唱えながら隅々まで眺めるが、年式や走行距離相応のヤレはどこにも感じない。2トーンボディの下半分、シャンパンゴールドの部分は1回塗り直しているそうだが、シートのヘタリも少なく、とんでもない極上車であることがわかる。



インテリアは基本的にストックをキープ。ステアリングもノーマルのままだ。キャブ化に伴いA/F計と燃圧計のみ追加されているが、デジパネとのミスマッチ感が面白い。


いくら極上車とはいえ、20万kmも走っているとさすがにシートはヘタっているものだが、このソアラは美しさを保っている。


デジパネのLCDが今やノスタルジックに見える。


燃圧計はメーターパネルの左側に付けられる。こうした追加メーターは、ボックス型のマウントをワンオフして装着。設置場所とマウントの形状にもこだわりが見える。


右側にはA/F計。どちらもオートメーター製だ。


5M型用のキャブ用インマニを介して装着されるソレックス50PHH。今やたいへんな希少品だが、オーナーはこのクルマのために新品を見つけてきた。


エキマニはトラスト製。接続されるマフラーは、オーナーこだわりの1㎜厚のステンパイプを使ったワンオフ品。

Nostalgic SPEED vol.003 2014年 3月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Takayoshi Suzuki/鈴木貴義 photo:Akio Hirano/平野 陽

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