日本国内、スパイダーとクーペを合算しても両手に余るといわれる希少車。親子で完璧なコンディションを維持|68年式 フィアット ディーノ スパイダー Vol.3

同時代のフェラーリやマセラティ製の高級GTと同等のフィニッシュを見せるインテリア。ステアリングリムやダッシュのキャッピングには本物のウッドがぜいたくに使用されるなど、大衆車を得意としたフィアットでは、異例の高級車だったことが分かる。

       
日本国内では、スパイダーとクーペを合算しても、恐らく両手に余るほどの希少車であるフィアット・ディーノ。

今回取材させていただいた68年式ピニンファリーナ製スパイダーは、フェラーリ・ディーノの愛好家クラブ「ディーノ・クラブ・オブ・ジャパン」の原田啓保会長がディーノ246GTとともに所有する愛車。

同クラブでは事務局長も務めるとともに、ご自身も59年式フィアット・アバルト750GTセストリエーレという超希少車を所有する若きエンスーなご子息、徹也さんと一緒に楽しんでおられるという。



 ともに、日本国内ではディーノの大家として知られることになった原田さん親子から伺ったところによると、今回の主役であるフィアット・ディーノ・スパイダーは、80年代末に日本に輸入されたのち、埼玉・大宮駅そばにかつて存在した某自動車博物館に長らく展示されていたもの。

現在では親子の綿密な研究のもと、完ぺきなコンディションを誇っているのだ。



同時代のピニンファリーナが、コンセプトカーに採用していた意匠を再現したマスク。ある意味フェラーリ版ディーノよりも先鋭的なデザインだった。



アロイホイールも、センターキャップ以外はフェラーリ版ディーノと同形状。



高級グランツーリスモとしての資質も追求されたため、ラゲッジスペースは2シーター車としては大きめの容積が取られていた。




ディーノ206GTと同じ、総アルミ製のディーノV型6気筒ユニット。DOHCのヘッドが鈍く光る。この個体は2ℓ版なのでキャパシティーは1987㏄。160psのパワーと17.5㎏-mのトルクを発生した。このエンジンをF2で使用するために開発されたクルマゆえに、名実ともに最も重要なパートといえよう。


ノスタルジックヒーロー  vol.164 2014年 08月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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