車両重量はなんと590kg! カーボンファイバー製パネルのボディが実現した超軽量マシン アドバンサニー 87年スペック(KHB310)4

バルクヘッドをくり抜き、エンジンとトランスミッションを85mm後退させている状態がよく分かる。

ボディのアウターパネルには、当時とても高価な素材だったカーボンファイバーパネルが使われ、車両重量は何と590㎏を実現した。

また86年シーズンの途中には、エンジンとトランスミッションの搭載位置を後ろに85㎜下げる大改造を敢行。

前車軸より後ろに重量物を移すことにより、ジムカーナで最も大切なタイトターン時の車体の動きをよりよくして、タイムを0・01秒でも削ることを目指していた。


 アドバンサニーは、まさに当時の山本の夢を形にした、究極のジムカーナマシンだったのだ。


A14型をベースエンジンとして、尾川自動車でフルチューン。1627ccの排気量を持ち、クーゲルフィッシャーのメカニカルインジェクション装着により、87年の最終仕様では198psを誇った。

点火系はスポンサーである永井電子機器製の同時点火システムを使用。なお、ボディとエンジンはゴム製マウントなどを使わずに、直接ボルトで固定されている。



クーゲルフィッシャーは、BMW2002tiiのシステムをベースに改良。ポンプはコグドベルトを介して駆動する。



ドアのインナーパネルには生産車と同じようなリブが付いているので、一見したところ鋼板製にも見えるが、実はドアの場合、インナーパネルもアウターパネルもカーボンファイバーパネルで製作されている。



DETAIL
アドバンサニー  87年スペック(KHB310)

ドライバー 山本真宏
車両製作・チューナー 尾川自動車
シャシーメンテナンス タスカエンジニアリング
エンジン型式 日産A14型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1627cc
圧縮比 12.5:1
最高出力 198ps/7800rpm
許容回転数 9800rpm
気化器 クーゲルフィッシャー機械式インジェクション
点火方式 ULTRA 同時点火
ミッション形式 F4W56L(NISMO-Opt.1)
1st 2.862
2nd 1.908
3rd 1.350
最終減速比 4.375
サスペンション形式 前/ストラット
後/等長4リンク式リジッド
ショック 前/KYB(ジムカーナspl.)
後/尾川自動車オリジナル
ブレーキ 前/MK63 4ポットキャリパー
ブレーキ 後/アルフィンドラム
サイドブレーキ 油圧式
デファレンシャル H165
LSD NISMO
安全タンク EVA(15ℓ)
ステアリング EVA-CANAM(バックスキン)
シート EVA-IMSA
フロントフェンダー カーボンファイバー製
ボンネット カーボンファイバー製
ドア カーボンファイバー製
リアゲート カーボンファイバー製
ホイール 前/ADVAN-A3A 8J×13(山本spl.)
後/ADVAN-A3A 9J×13(山本spl.)
タイヤ 前/ADVAN スリック 210-515-13
後/ADVAN スリック 230-515-13
車両重量 590kg


ノスタルジックヒーロー Vol.145 2011年6月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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