1987年シーズンでその活動に終止符を打った アドバンサニー 87年スペック(KHB310)2

時はさかのぼり、1986年11月30日、場所は静岡県富士宮市の白糸スピードランド。頂に雪を載せた富士山がくっきりと望める広いアスファルトの会場で、この年の全日本ジムカーナ選手権が開催された。当時は北は北海道から南は九州まで、全国8地区から選抜された腕自慢のジムカーナドライバーたちが、各クラス日本一の座を奪い取るべく、午前と午後の2回の走行に全身全霊をかけるモータースポーツイベントだった。

 大幅な車両改造が許されるDクラスに出場していた有力ドライバーが山本で、彼のマシンこそがアドバンサニーだった。1回目の走行でクラストップタイムをマーク。ライバルがマシンを転倒させたことでリタイアとなり、その結果、山本がアドバンサニーで初、自身で2度目の全日本Dクラスチャンピオンを獲得した。翌87年シーズンもアドバンサニーで参戦した山本だったが、関東地区のシリーズ最終戦で区切りをつけ、他のマシンにスイッチ。サニーでの活動に終止符を打った。


尾川自動車でジムカーナDクラス仕様として再製作。同年の全日本ジムカーナ選手権Dクラス5位。84年は山本選手の活動休止により不出場。85年全日本ジムカーナ選手権Dクラス2位。86年はシーズン中にタスカエンジニアリングでエンジン搭載位置を変更。全日本ジムカーナ選手権Dクラスチャンピオンを獲得。87年は関東(C地区)ジムカーナ選手権最終戦まで参戦した。



カーボンファイバーパネルで作られたドアの開閉は、独特の仕掛けにより行う。運転席側は、丸く開けられた穴の奥にノブがあり、指で引っかけて開く。



助手席側にはその穴もなく、レースカーのカウルなどを留めるパーツであるズースファスナーで固定。メンテナンスやサポートなどで開ける必要がある時には、マイナスドライバーを使う。ちなみにドアウインドーはアクリル製で固定されている。



リアサスペンションはリジッドで、尾川自動車オリジナルダンパーを組み合わせる。ブレーキはアルミ製フィン付きドラムブレーキとなる。

ノスタルジックヒーロー Vol.145 2011年6月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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