8気筒並みのフィーリングを生んだ4気筒の4G52型エンジン。その秘密は2本のサイレンスシャフト 三菱ギャラン GTO 2000 SL-5 3

75年のマイナーチェンジでエンジンはアストロン80となり、画期的な進化を遂げた。4気筒エンジンながら8気筒エンジンの静粛性を得るために、2本のサイレントシャフトを組み込んだ。シャフトを回転させることで、エンジンの振動を抑える。

搭載エンジンのアストロン80と呼ばれた4G52型と、先代のアストロンエンジン4G51型との違いは静寂性。4気筒エンジン独特の振動やこもり音を解消し、8気筒のようなフィーリングを生んだ。その要因となったのが、エンジン内部に組み込んだ2本のサイレントシャフト。クランクシャフトの両側にサイレントシャフトを上下に組み込み、高回転させた。あえて振動を生み出し、エンジン自体の振動を相殺。レシプロエンジンの常識を覆した。

 ギャランΛへの過渡期、グレード設定の谷間に生まれた希少なクルマといえる。ホイールは三菱純正オプションの井桁タイプアルミホイールを履く。前オーナーによって、リアフェンダー上部にオートアンテナが取り付けられたが、全体的にほぼノーマルの状態を保ち続けている。88年、小黒さんはこのクルマを走行距離2万㎞で手に入れた。極上の状態だったというが、すでに20年来のパートナーとなった。それでもヤレを感じないのは、初恋のクルマに注がれる愛情の表れだろう。


珍しい三菱純正オプションのフルトランジスタイグナイターキット「DIASPARTK・IC」を装着する。



シートにバケットシートを採用。ブラックの重厚なレザータッチの表皮。インテリアもGTOの魅力の一つだった。



今では当たり前となったトランクオープナー。それまで鍵で開けていたロックを室内から解除できたのは画期的だった。


ノスタルジックヒーロー Vol.145 2011年6月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:MURANISHI IKKAI /村西一海

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