いすゞ自動車では、かつて生産していたクルマをレストアして、モーターショーや企画展で展示を行なっている。トラック専門メーカーとして生まれ変わった現在でも、古いクルマを大切にしているその目的は何か。その経緯と現在の活動について、詳しく調べてみた。
【スペシャルインタビュー 石川 亨(いすゞ自動車 試作部 部長)× 中尾 博(いすゞプラザ 副館長代理) vol.1】
お二人が入社した1980年代。当時は、いすゞ自動車の社内でレストア事業は本格的に行われていなかった。トヨタ博物館がオープンするということで、いすゞ自動車保管のクルマを貸し出す際、整備した程度。古いクルマは使用目的もないままに、工場の片隅に保管されている状態だった。
そして、2004年に組織改革があり、この保管車両を整理するという話が持ち上がった。乗用車を石川さんが所属する試作部へ移管することが決まり、本格的なレストア活動をスタートさせたのが始まりだったという。
この時、工場や社外に預けられていた、初代エルフ、スミダ、ウーズレーなども同時に回収が始まっている。
しかし、引き取ったところで、このクルマたちをどのように活用するかは決まっていなかった。そこで、技能伝承教育の一環として、クルマを活用することを会社に提案。するとそこに、予算がつくことになり、レストア活動を通して古いクルマの活用がスタートした。
実際にレストアをしてみると、苦労も多かったという。
「驚いたのが、古いクルマの中に入ると、体が痒くなってくるんです。小さな虫が住み着いていたようで、まず最初に殺虫剤を使うことを学びました。レストアとは関係ありませんが、他の博物館でも同じようなことをおっしゃっていて、みんな同じ苦労をしているんだなと実感しました」と石川さん。
【画像13枚】「幼い頃からクルマの絵ばかり書いていた」カーデザイナーの道を志し、美術大学へ入学! スペシャルインタビューも。>>工場のエントランスに飾られた、3代目エルフとヒルマンミンクス。ボディからインテリアまできれいにレストアされ、工場に勤めるスタッフが毎日眺められる場所に展示してある。
【2】へ続く初出:ノスタルジックヒーロー 2019年6月号 vol.193
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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