プレリュードから「デートカー」No.1の座を奪ったアートフォースな新時代スポーツカー S13 シルビア 1

80年代後半、峠を攻めるような走りを好む人種にとってのアイドルはハチロクだった。もちろん、シビックやCR‐X、RX‐7も含まれていたが、後輪駆動(FR)と、直4エンジンの組み合わせがベストと思っていた。

 古めのランタボや新たにファミリア4WDなども加わり、峠に集まるクルマたちはメーカーも駆動方式もエンジン形式もバラエティに富んでいた。ここで寂しいのが日産。スカイラインとフェアレディZが気を吐くが、2台は少々サイズが大きかった。

 そこに登場したのが88年のS13シルビア。先代がCAエンジンに切り替わり遅くなってしまったこともあるが、リトラクタブルヘッドランプのややヤボッたいスタイルが不人気の理由だったのだろう。それらの要因をすべてつぶし、完全に生まれ変わったシルビアは、完璧すぎるくらいにカッコ良く速かった。



リアフェンダー手前にあるQ’sのバッジがS13唯一のグレードを表す手がかり。撮影車はアルミホイールはトミーカイラのものだ。



ハイマウントストップランプ一体のリアスポイラー。



小型FRスポーツ存続の危機だった80年代後半。もうスポーツカーに未来はないと誰もが思っていた矢先に発売されたのがS13。
パワフルかつ優雅な振る舞いを身上とし、アートなスタイルも斬新。デートカーNo.1に躍り出た新感覚のスポーツカーだった。


ハチマルヒーロー 2009年 05月号 vol.11(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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