高性能なDOHC 2L 直列6気筒エンジンを搭載した英国製スポーツサルーン 小さな高級・高性能サルーンの名作ジャガー マーク2 3

シングルナンバーが今なお残された一台

 今回の主役であるジャガー・マーク2は、64年型の「2.4L」。この時代の日本におけるジャガー総代理店だった新東洋自動車が輸入・販売したディーラー車で、「品3」のシングルナンバーが今なお残される。また当時の正規ディーラー車としては少数派に属するRHD車である。

 往年のジャガーに造詣の深い方ならご記憶かもしれないが、現役当時の最小排気量版である2.4Lは、上級の3.4/3.8に比べて「絶望的に遅い」と言われた一方、オプションのパワステを選ばない限り、ステアリングも猛烈に重いと評されていた。ところが今、この2.4L版に乗ってみると、それまでの知識が机上のものであることを実感させられた。

 もちろん、筆者がこれまで走らせた経験のある3.4/3.8Lの速さには及ばないが、この個体は変速機が4速MTのせいか、文句のないパフォーマンスを発揮してくれる。一方で、小排気量ゆえのシャープな吹け上がりや爽快なサウンドも体感できる。

 またステアリングも決して軽いとは言えないが、この時代のサルーンとしてはシュアな手ごたえ。基本設計の古さゆえに絶対的なコーナリングの限界は低く、またアンダーステアも強いが、直列6気筒DOHCエンジンを歌わせながら豪奢なサルーンを走らせる行為は、マーク2だけの特権である。

 現代の2L級サルーンよりも遥かにコンパクトなボディに、高性能なDOHC6気筒エンジンを搭載。さらに英国伝統のレザーとウッドからなる素晴らしいインテリアを内包したジャガー・マーク2は、間違いなく最も魅力的な英国製サルーンの一つと言えよう。特にこの個体は、シングルナンバーとともに日本国内では非常に有名な一台。ナンバーともども「後世に残すべき一台」なのである。

SPECIFICATIONS
1964 JAGUAR 2.4ℓ MK2

全長×全幅×全高(㎜) 4591×1695×1432
ホイールベース(㎜)  2727
車両重量(㎏)  1440
エンジン種類  直列6気筒DOHC
総排気量(㏄)  2483
最高出力(bhp/rpm)  120/5750
最大トルク(N・m/rpm) 195/2000
変速機  4速MT
燃料タンク(ℓ) 54.6
サスペンション前 ダブルウイッシュボーン
サスペンション後 リジッドアクスル
ブレーキ形式 4輪ディスク
タイヤサイズ  205/70R15

エンブレム

リーピングキャット
「リーピングキャット」と呼ばれ、現在でもジャガーのシンボルとなっているボンネットマスコットは、のちのXJ6などに装着されたものより、遥かに大型であった。

エンジン
戦後ジャガーの象徴「XK」型直列6気筒DOHCエンジン。この個体は「2.4Litre」版
なので、気化器は大排気量版のSUではなくソレックス。120psを発生した。

ワクイミュージアム

ワクイミュージアム
ワクイミュージアム
埼玉県加須市のワクイミュージアムは、輸入車販売会社ワク井商会によって開設された個人ミュージアム。イギリスを代表するロールス・ロイスとベントレーのクラシックカーが集められており、現存する最古のベントレーも収蔵されている。

ワク井商会
〒113-0032
東京都文京区弥生2-10-11
TEL 03-3811-6170
営業時間10:00〜18:00
定休日:水曜

ミュージアム
〒347-0010
埼玉県加須市大桑2-21-1
TEL 0480-65-6847
営業時間11:00〜16:00
開館日 土・日曜


掲載:ノスタルジックヒーロー 2017年2月号 Vol.179(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Junichi Okumura/奥村純一

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