ボビンメーターの愛称で親しまれた最初期モデル シトロエン BX 2

若きフランス車エンスー

 今回の主役であるシトロエンBXは、86年式の16TRS。ファンの間では「ボビンメーター」の愛称とともに敬愛される最初期モデルである。一方オーナーの本田浩隆さんは、なんと弱冠20歳の現役大学生なのだ。

 実はシトロエンBXは、かつてお父さんも愛用しており、本田さんが物心ついて初めて乗ったクルマもBXだったという。また長野・車山高原に毎年約3000台も集める国内最大のフランス車の祭典「フレンチブルーミーティング」にもお父さんに連れられて、15年以上前からの常連とのこと。それゆえ、2年前に自動車教習所に通い始めると、ほかにルノー4や初代5などとも悩みつつも、さる愛好家が所蔵していたというシトロエンBXを発見。購入するに至ったそうだ。

 現在では都内某名門校の自動車部に所属することから、ちょっとしたメンテナンスならば自分で難なく手掛ける一方で、シトロエンをはじめとするクラシックなフランス車、あるいは90年代のマツダ車などについても驚くほどの知識を蓄えている。実際、今回の取材に際しても彼の知識に助けられることが多かったのだ。

 「若者のクルマ離れ」という言葉が語られるようになって久しいが、本田さんのような若者を見るにつけ、将来が楽しみになってくる。ちょっと大げさに聞こえるかもしれないが、日本の自動車文化を支える一人になるに違いない、と確信してしまったのである。

メーター

インパネ

ステアリング

サイドブレーキ

トップルーフ

フロントシート

リアシート

初期型BXのシンボル、愛好家にとってのアイコンとなっている「ボビンメーター」だけでなく、ダッシュパネル周辺のデザインは後期型よりも遥かに先鋭的なもの。一方前後シートは、旧き良きシトロエンの伝統を忠実に守ったもの。身体を柔らかく包み込むようでありながら、同時に確実にサポートしてくれる、実に秀逸な作りとなっているのが特徴である。


掲載:ハチマルヒーロー 2015年2月号 Vol.28(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

txet:Hiromi Takeda/武田公実 photo:Daijiro Kori/郡 大二郎

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