送迎はデボネアで【2】「良いものはいつの時代でも引き継がれる」|1983年式 三菱 デボネア エグゼクティブ SE

デボネアが置かれているのはモデルハウス「ムーンストリーム」で、鉄筋コンクリート構造の特性を生かした、大きな窓を持つ素敵な家だった

       

住宅メーカーが来場客の送迎で使っている
快適仕様にバージョンアップされたデボネア

会社が理念として掲げる「良いものはいつの時代でも引き継がれる」という言葉。商品である「住まい」で具現化する一方、お客さまを運ぶための社用車にも、その考え方を取り入れている住宅メーカーがあるという。

【 1983年式 三菱 デボネア エグゼクティブ SE Vol.2】

【1】から続く

 なぜ、その役目を旧車のデボネアに託すことになったのだろう。同社の大野智均社長に話をうかがった。

「当社は注文住宅を手がけるメーカーです。近代建築の巨匠であるフランク・ロイド・ライトという建築家がいて、その建築理念である『オーガニックハウス』を受け継ぐ住宅を提供しています。つまりデザイン性と住みやすさを両立させて、所有者が大切に手入れをしながら長く住み続けることができる家を理想として、それを当社がお客さまに販売しているわけです。

 私たちは『良いものはいつの時代でも引き継がれる』という言葉を大切にしています。お客さまをデボネアにお乗せすることは、私たちの理念を直接お伝えするいい機会だと考えています」

 大野社長はPGC10スカイライン2000 GT‐Rのオーナーであり、国産旧車への造詣も深い。古いエグゼクティブカーを現代に通用するクルマに仕立てて、社用車として活用するアイデアもずっと温めてきた。それを実現するための相談を持ちかけたのが、本誌でもおなじみの旧車販売店、ヴィンテージ宮田自動車の吉田杜斗店長だった。愛車のスカイラインを通じてその確かな仕事ぶりも知っている相手であり、適任なのは間違いなかった。

「大野社長とは、どのような車両をお望みなのか、詳細に相談させていただきました。デボネアで製作しましょうと決めてからは、ベース車の確保から始めて、約1年かけて完成させました」
 と、吉田店長はいきさつを話す。


≥≥【画像25枚】ボディは旧塗色をすべて剥離してからオールペイント。純正色のイタリアンシルバーよりフレークを多めにして、明るい印象のシルバーにしていボディカラーなど



>> 22年の長きにわたって生産されたA30系デボネアのボディフォルムは、デビュー当時からほとんど変わらなかった。角ばって武骨な印象ではあるが、唯一無二の個性あふれるデザインであり、その存在感は圧倒的だ。





>> 高級感あふれるブラウンのインストルメントパネルには、旧車オーナーに人気の1DINポップアップモニター仕様のカロッツェリア製ナビを装着。安全で快適なドライビングが可能となっている。





>> シンプルで視認性のいいメーターパネル。3速コラムATを搭載。





>> 社用車としてお客さまを乗せることが大きな目的のため、特にこだわったのが前後シートの張り替え。アイボリーの高級レザーを使って仕上げてある。





>> 特にリアシートは圧巻の仕上がり。周囲のガラスにはUVカットのフィルムも貼り付け、快適な空間を演出する。


1983年式 三菱 デボネア エグゼクティブ SE

SPECIFICATION 諸元
全長 4670mm
全幅 1690mm
全高 1460mm
ホイールベース 2690mm
トレッド前/後 1390 / 1390mm
最低地上高 170mm
車両重量 1385kg
乗車定員 6名
登坂能力 tanθ0.61
最小回転半径 5.3m
エンジン型式 G54B型
エンジン種類 水冷直列4気筒SOHC
総排気量 2555cc
ボア×ストローク 91.1×98.0mm
圧縮比 8.2:1
最高出力 120ps / 5000rpm
最大トルク 21.3kg-m / 3000rpm
燃料タンク容量 70L
変速 機形式 前進3段フルオートマチック
変速比 1速 2.680 / 2速 1.508 / 3速 1.000 / 後退 2.310
最終減速比 3.909
ステアリング形式 ボールナット式
サスペンション 前/後 ウイッシュボーン式・コイルバネ / 半楕円板バネ式
ブレーキ 前/後 ディスク / デュオサーボ
タイヤ 前後とも 175SR14
発売当時価格 249.1万円



【3】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2017年8月号 Vol.182
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1983年式 三菱 デボネア エグゼクティブ SE(全3記事)

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text:NOSTALGIC HERO/編集部 photo:KAZUHISA MASUDA/益田和久

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