今だから語れる80日本カー・オブ・ザ・イヤー 第7回COTY受賞車 パルサー・エクサ/ラングレー/リベルタビラ

ファミリーカーの駆動レイアウトが後輪駆動から前輪駆動のFF方式に変わったのが1980年代だ。
メカニズムをフロントに集中し、ドライブシャフトを不要にしたFF方式は、キャビンを広く設計でき、操縦安定性にも優れている。
パッケージング面でFR車を圧倒するから、コンパクトカーはこぞってFF方式に転換していった。

 ところが、最初からFF方式を採用した、先見の明があったコンパクトカーも存在する。
その代表がチェリーの時代からFF方式を採用していたパルサーだ。
サニーの陰に隠れて目立たなかったが、日本よりヨーロッパで高く評価された玄人好みのファミリーカーだった。
その3代目、N13型が発表されたのは86年5月のことである。

 ボディタイプは「サルーン」と名付けた4ドアセダン、3ドアと5ドアのハッチバックの3タイプをそろえた。
パワーユニットも豊富だ。
1.3L直列4気筒SOHCのE13S型をボトムに、1.5LのE15S型と電子制御燃料噴射装置を採用したE15E型、1.7LディーゼルのCD17型に加え、DOHC4バルブの新設計ユニット、CA16DE型を設定している。

 DOHCエンジンとともに注目を集めたのが駆動方式だ。
定評のあるFF車に加え、4WD車もラインナップした。
しかも4WDは、パートタイム4WDと先進のフルオート・フルタイム4WDを用意する。
後者はシリコンオイルの粘性を利用したビスカスカップリングを用い、瞬時に前輪駆動の2WDから4WDに切り替えるスタンバイ方式の4WDだ。
ステアリングを切ったときに不快なタイトコーナーブレーキング現象が発生しないのだ。

 ビスカスカップリングを最初に4WDに使ったのはフォルクスワーゲンだったが、センターデフに加え、リミテッドスリップデフ(LSD)までもビスカスカップリングとした世界最初の量産車はパルサーである。

 このN13型パルサーは、秋に兄弟車を加えた。
パルサーはチェリー店扱いだが、兄弟車として送り出されたラングレーはプリンス店扱い、リベルタビラは日産店扱いだ。
また、パルサーのクーペモデル、エクサも登場した。

 86年にデビューしたライバルには名車が多い。
その筆頭は、ハイソカーブームの火付け役となったソアラの2代目である。
さらに同じメカニズムを持つスープラ、フルタイム4WDにターボを組み合わせたセリカGT‐FOUR、ビスタ/カムリと、トヨタは、4車が日本カー・オブ・ザ・イヤーの10ベストにノミネートされた。

 日産はパルサー兄弟のほか、2ドアハードトップだけに絞った2代目のF31型レパードが10ベストに残っている。
マツダで選出されたのは5代目のルーチェとフォードブランドのフェスティバだ。
三菱はFF方式に転換したデボネアV、ホンダは2代目のシティが10ベストに名を連ねた。

 そしてこの10台の中から86‐87日本カー・オブ・ザ・イヤーの栄誉に輝いたのが、日産のパルサー・エクサ/ラングレー/リベルタビラだった。
世界初となるビスカスカップリングを採用したフルオート・フルタイム4WDが識者やジャーナリストから高く評価されたのだ。
そして翌87年2月には日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞を記念して、フロントにもビスカスカップリング式LSDを装備したトリプルビスカス・フルオート・フルタイム4WDを限定発売している。


エクサ
ワゴン風の四角いハッチゲートを備えたエクサキャノピー。

エクサ
エクサ
ノッチバックスタイルのゲートを備えたクーペ。輸出仕様では、それぞれのハッチゲートを付け替えられたが、国内仕様は法規の関係で交換できない仕様となっていた。ルーフはTバー仕様で、ハッチゲートを外せばオープンカー並みの開放感を味わえた。

ラングレー
「スカイラインズミニ」のキャッチフレーズの通り、ラングレーはスカイラインによく似ていた。

ラングレー
リアのコンビネーションランプもスカイラインを強く意識した丸形4灯だ。

ラングレー
ドアハッチバックモデルもラインナップ。

リベルタビラ
リベルタビラはブルーバードに似たイメージの顔つきだ。


リベルタビラ
セダンはオーソドックスな3ボックススタイル。

リベルタビラ
3ドアハッチバックボディも設定された。






ハチマルヒーロー 2012年 05月号 vol.17(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Hideaki Kataoka / 片岡秀明

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