アメリカの庶民にとって、ピックアップトラックを所有することは、ひとつの自慢のネタでもある。日本の商用車感覚とは別の価値が存在している。ニッポン旧車とのかかわりを持っていたオーナーが、とあるきっかけと妻のひとことで緑色のトヨタ・ハイラックスと出合った。プロメカニックの経験を生かしてレストアを開始。実際に使えるトラックに仕上げたのだった。
【1974年式 トヨタ ハイラックス Vol.4】
【3】から続く ハイラックスの登場はアメリカでダットサン520が大人気の中でのことだ。ダットサンに対抗するためトヨタが取った方法は、乗用車に劣らないラグジュアリー感。このコンセプトは後のハイラックスまで一貫する。
1972年、ハイラックスは2代目となって同年登場のダットサン620と真っ向対決。1978年に3代目へ進化すると翌年には4WDを追加。ここでダットサンが、一歩遅れをとった。4WDを揃えたのは1980年の720系になってからだった。
世の中は楽しみを求める時代になっていた。ピックアップトラックはレジャー用途の色合いが濃くなり、4WDは新たなユーザー層にアピールした。象徴的にも1985年のハリウッド映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」に映ったのはダットサンではなく、堂々とした4代目ハイラックスの姿だった。
トヨタのウェブサイト「トヨタ自動車75年史車両系統図」では、当時のカタログを閲覧できるようになっている。ハイラックスの項をみると2代目までは「商売用途」のみをアピールしているが、3代目では唐突に「カリフォルニア育ち」のハイラックスカリフォルニアと名乗っている。4代目のうたい文句は「フリースタイル」。まるで英文カタログと見間違うような表紙だ。ピックアップの新たなあり方を提案し続け、時代をリードしたトヨタ・ハイラックス。カタログを見ると時代の変遷を改めて感じることができる。
>>【画像13枚】自宅内の一角に90ccのホンダ・モンキーと700ccのホンダ・ナイトホークなどたわみ継手(ゴムカップリング)にリサーキュレーティングボールを使ったステアリングも先代ハイラックスと同じ方式。路面からの反動を抑える目的の選択。エキゾーストはシューベルトさんカスタム品の4-into-1に変えてあった。
初出:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 vol.181
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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