「安心感と安らぎの提供」のために取り組まれた高剛性ボディ「スーパーモノコックボディ」の開発|1990年式 マツダ ルーチェ 4ドア ハードトップ 3000 V6 DOHC リミテッド グランツーリスモ Vol.2

横に長いメーターパネルには各種計器が整然と並び、視認性が高い。最上級のロイヤルクラシックのみデジタルメーターとなる。

       
【1990年式 マツダ ルーチェ 4ドア ハードトップ 3000 V6 DOHC リミテッド グランツーリスモ Vol.2】

【1】から続く

 1986年9月にデビューした5代目ルーチェ、その設計思想はライバルたちとは大きく異なる。マツダが高級車に求めたものは、「安心感と安らぎの提供」だった。

それを具現化するためにまず取り組んだのが、高剛性ボディの開発だ。コンピューターによる強度計算やレーザー解析といったハイテクを駆使して「スーパーモノコックボディ」を作り上げたのだった。

 この高剛性ボディはサスペンション本来の働きを引き出すことにつながる。ルーチェはほかの高級車のようにサスペンションを闇雲に柔らかくしてフワフワとした乗り心地にするのではなく、きっちりとサスペンションに仕事をさせて走行安定性を向上。とくにリアに採用したマツダ独自のE型マルチリンクサスペンションの恩恵は大きい。

 エンジンではJ型V6エンジンを新開発。デビュー当初は自然吸気とターボが用意された2LのJF型のみだったが、1987年に3L自然吸気のJE型を追加した。また、マツダの代名詞でもある13B型ロータリーターボエンジン搭載車もラインナップ。高級車らしいフラットトルクを味わえるV6モデル、刺激的な走りも楽しめるロータリーモデルといった2つの顔を持っていた。

>>【画像20枚】グランツーリスモのみ標準装備(他グレードはオプション)となるパイオニアのCD+カセット+ラジオオーディオなど



フルオリジナルを維持するインパネまわり。ガレージ保管だったため状態も良い。グランツーリスモはステアリングとシフトレバー、ダッシュパネルが本革となるなど、上質な仕立てだ。



シフトタイミングを緻密にコントロールする電子制御オートマチック。グランツーリスモにはビスカスLSDが標準装備される。






電子制御サスペンションAAS(オート・アジャスティング・サスペンション)は、ソフト/ハード/オートの選択が可能。オートモードは通常走行時はソフトに、高速走行時やコーナリング時はハードに自動調整。横のスイッチはATのパワーモードとエコノミーモードの切り換え。





そのAASの作動状況はメーターパネル右端に表示する。






グランツーリスモは本革シートが標準で、運転席には電動調整機能も装備。レースのハーフシートカバーは販売店アクセサリーで、新車時から使用しているもの。


1990年式 マツダ ルーチェ 4ドア ハードトップ 3000 V6 DOHC リミテッド グランツーリスモ(HCSS)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4820×1705×1395
ホイールベース(mm)  2710
トレッド前/後(mm) 1440 / 1450
車両重量(kg)  1500
エンジン型式  JE型
エンジン種類 V型6気筒DOHC
総排気量(cc) 2954
ボア×ストローク(mm) 90.0×77.4
圧縮比 9.5:1
最高出力(ps / rpm) 200 / 6000
最大トルク(kg-m / rpm) 26.5 / 4500
変速比 1速 2.841 / 2速 1.541 / 3速 1.000 / 4速 0.720 / 後退 2.400
最終減速比 4.100
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット / マルチリンク
ブレーキ ベンチレーテッドディスク(前後とも)
タイヤ 205 / 60R15(前後とも)
発売当時価格 317.7万円

【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 09月号 vol.31
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 マツダ ルーチェ 4ドア ハードトップ 3000 V6 DOHC リミテッド グランツーリスモ(全3記事)

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【1】から続く

text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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