【プリンスがS54B用に開発した、ハイコンプ仕様のG7型エンジン その2 Vol.3】
その2 【2】から続く 国産初のSOHCエンジンとなったG7型は、あえて量産が難しいロッカーシャフトを採用しているというのが、プリンスの技術力の高さを証明している。また、ロッカーアームに関しては、少しでも耐摩耗性を上げるために、カムとの当たり面には金属溶射が施されているが、おそらく手作業で行われていたはず。その後、機械で研磨して仕上げてある。そのため、50年後の現在では、かなり摩耗して虫食い状態になっているロッカーアームが多いそうだ。
「金属溶射のロッカーアームは、長年使っていると当たり面が虫食い状態になったりしています。その場合、再度、表面に金属溶射を施して研磨することで、貴重なロッカーアームを使えるように再生しています」とオーバーホールの際の加工方法を教えてくれた。
「G7型はよく考えられたエンジンだと思います。チェーンは2ステージ方式で、一次と二次の2カ所にチェーンテンショナーが設けられています。しかも、チェーンの周速を落とす方法も考えられているんです」とプリンスの技術に感心しきりの館長だった。
>>【画像15枚】ピカピカに磨いたロッカーカバーに、完成の証として貼られたコーションステッカーなどシートカットを行った後、バルブのすり合わせを行い、バルブとシートを密着させて圧縮圧力の漏れを防ぐ。
ヘッドはフライス盤で面研。S54B用のG7型は、ハイコンプピストンを使うので、ほんの修正程度だ。
燃焼室まわりもリフレッシュ! キレイに仕上げられた燃焼室。ただし、右上の色味が違う部分は、ヘッドガスケットが抜けたことによる溶けた跡があり、溶接修理を行っている。
クランクプーリーボルトにも、緩み止めのワイヤーロックを施す。ダンパープーリー部分がエンジン側にあるのがL型とは異なる部分。
最後の仕上げに、カムスプロケットのボルトをワイヤーロック。ちなみに、カムの駆動にはWチェーンが採用されている。
初出:ノスタルジックヒーロー 2017年4月号 vol.180
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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