「R」じゃない。自分だけの「R仕様」にこだわる|1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT Vol.2

エンジンはL28型改3.2L仕様。ゼロヨン仕様だったころにワコーがフルチューンしたハイメカユニットで、340psのパワーを発生する。ゴールドのヘッドがまぶしい。

       
1970年、ボディを4ドアから2ドアに変更し登場したハコスカHT GT-R。オーバーフェンダーを装着した精かんなスタイリングは一躍人気を博し、以来それをまねるGT-R仕様は40年に渡りハコスカスタイルの王道とされてきた。そんな往年のハコスカR仕様からの脱却を狙い、大径ホイールとスピードフォルムの新作オーバーフェンダーによる次世代のRスタイルが出現した!

【1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT Vol.2】

【1】から続く

 ここで紹介するハコスカのオーナーも、自分だけのR仕様にこだわりを持つひとりだ。3年ほど前に購入したハコスカを、少しずつ時間をかけて慎重にモディファイしてきた。完璧なR仕様を目指したというエクステリア。ウインドーは前後左右すべてをGT‐Rと同じ白ガラスに交換し、前後バンパー、ライトベゼル、グリル、テール、テール枠、そしてエンブレムなど、すべてGT‐Rと同じパーツに変更されている。室内ももちろんテーマはR仕様で、内張りやルーフライナーもすべてGT‐Rと同じものに貼り替えている。一方、動力性能もR仕様と呼ぶにふさわしい内容だ。エンジンはL28型改3.2L仕様。ワコーが手がけたスペシャルチューンドエンジンで340psをマークしており、ゼロヨンをターゲットに仕上げられたため、加速力はハンパじゃない。

 そして、このハコスカR仕様の一番の見せ場が、モーターズ バイ シェイプ(以下シェイプ)のエアロブランド、「スピードフォルム」の新作となったオーバーフェンダーと、ハイインパクトなホイールセッティング。前後17インチの熱狂的な大径ホイールと、かつてないラインとボリューム感をもったオーバーフェンダーが、R仕様の足もとに途方もない衝撃と疾走感を与える。

>>【画像28枚】内張りは純正GT-R用にすべて交換し、ルーフライナーは貼り替え済みとなっているインテリア。このハコスカがゼロヨン仕様として作られたあかしであるロールバーなど




キャブレターはミクニ製ソレックス50PHH。遮熱板を装着し、吸入温度にもしっかりと気を配る。ラインは購入時にすべて引き直しを行った。






容量アップが図られたマスターバック。負圧タンクはハコスカ専用設計となるビクトリー50のアイテムだ。





オーナーにはガス欠による苦い経験があり、以来トラウマ。燃料系の配管はすべて引き直し、トランクルームにはステンレス製の頑丈な50L タンクを設置している。


1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT(KGC10)
SPECIFICATION 諸元
■ エクステリア:フルレストア、スピードフォルム製オーバーフェンダー(FRP)、GT-R用白ガラス/ウェザーストリップ/ライト枠/グリル/テール/エンブレム類ほかGT-R仕様
■エンジン:L28型改3.2L仕様(最高出力340ps)、WAKO specialヘッド、75Sカムシャフト、オリジナル強化バルブスプリング、専用リテーナー、強化コッター、クロモリロッカーガイド、カムホルダースペーサー、ダミーヘッドボーリング、クランクキャップOS加工、ラインボーリング、シリンダーブロックパルホスM処理、WAKO製85mmクランク/スペシャルコンロッド、ワイセコ鍛造ピストン、チタンコートリング、強化オイルポンプ、セルモーターオフセットスペーサー、メタルヘッドガスケット、強化タイミングチューン、ATIダンパーほか
■ 点火系:亀有製デスビ+MDI、リビルトダイナモ
■ 吸気系:ソレックス50PHH
■ 排気系:亀有製等長ステンタコ足、シェイプ製ワンオフチタンマフラー
■ 燃料系:BOSCH強化燃料ポンプ、アルミコレクタータンク、アルミ削り出し燃料レギュレーター、キノクニ燃料配管メッシュホース、50Lステンレス燃料タンク
■ 冷却系:3層ラジエーター、OILクーラー
■ 駆動系:R32タイプM用ミッション、亀有製クロス/強化レリーズ+ステンメッシュホース、OS技研製トリプルクラッチ、クラッチマスター交換、クイックシフト、R200デフ
■ 足回り:コモンスナッパー製カンデン車高調キット、亀有製ブッシュ
■ ブレーキ:(F)MK63キャリパー、亀有製ベンチローター、強化パッド、ステンメッシュホース、ラインロック装置 (R)強化ブレーキシュー、ブレーキマスターバッグ&シリンダー交換
■ タイヤ: ダンロップDIREZZA ZⅢ(F)205/45R17 (R)225/40R17
■ ホイール:レイズ ボルクレーシングTE37V-BR(F)17×9.5J -15 (R)17×10J -20
■ 内装:レース用ワイドミラー、GT-R純正内張り、天張り貼り替え、レカロシート×2、NISMOシートベルト×2、亀有製追加メーター(水温・油温・油圧)、燃圧計、ダッツンコンペステアリング、カロッツェリアCDユニット、BOSE製スピーカーほか


【3】に続く

初出:ノスタルジックスピード 2018年5月号 vol.016
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1971年式 日産 スカイライン HT 2000 GT(全3記事)

関連記事: 注目の旧車スタイル徹底紹介

関連記事: スカイライン


【1】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

RECOMMENDED

RELATED

RANKING