ソアラよりも先にデビューし、人々をアッと言わせたスペシャリティーカー、初代F30レパード|1984年式 日産 レパード TR-X 2ドア ハードトップ ターボ SGX Vol.1

新しいジャンルを築いた 日産の新感覚上級モデル。

       
【時代の主役を争った2台のハイソカー|プライドをかけた戦い ソアラvsレパード】

80年代初頭に巻き起こったハイソカーブームにおいて、欠かせない存在がソアラとレパード。
両車とも各メーカーの最高級パーソナルカーとして開発され、2世代に渡ってしのぎを削った。
この戦いは両メーカーが威信を賭けた、負けられない戦いだったのだ。

【1984年式 日産 レパード TR-X 2ドア ハードトップ ターボ SGX Vol.1】

 80年代初頭のスペシャリティーカー市場において、圧倒的な人気を誇った初代ソアラ。しかし、そのソアラよりも少々早くデビューし、人々をアッと言わせたのが初代F30レパードだ。
 初代レパードの見どころは多く、内外装からエレクトロニクス装備まで多岐にわたる。なかでも斬新なスタイリングはライバルのソアラを凌駕するもので、アッパーミドルクラスにふさわしい風格を備えながら、どんなクルマにも似ていない個性を表現している。さらに、26.5度という国産車最大のスラント角を持つフロントノーズや、タイヤに直接風を当てないエアーフィン形状の車体構造、各部の段差を小さくするフラッシュサーフェス化などにより、当時の国産車トップクラスの空気抵抗係数0.37を実現。この数値は同社のS130Zと同等のもので、いかに空力特性にこだわって開発されたかが分かるはずだ。

 数々の世界初や国内初といった装備にも、大きな注目が集まった。燃料や水温などを表示するマルチ電子メーターと、小型ワイパーを鏡面に備えたワイパー付きフェンダーミラーは世界初の装備で、乗員や積載量にかかわらず車高を一定に保つオートレベライザーや、リジューム・アクセラレート機構付きASCD(オートスピードコントロール)は国内初。さらに、ロックアップ機構付きATは日産車初と、とにかく当時最先端の装備が多数導入されたのである。

>>【画像18枚】タコとスピードの間に水温と燃料を配したシンプルなアナログメーター。後期ZGX系とグランドエディションには、標準装備だったデジタルメーターなど



1981年7月に新搭載されたL20ET型。6気筒ならではの高い静粛性と、ターボ特有の力強い加速が同時に味わえるパワープラント。





L20ET型搭載車の場合、ボンネット上にエアアウトレットが装備される。





後期から採用されたリアガーニッシュには、「TURBO SGX」のグレード名が入る。また、トランクのキーシリンダーオーナメントも高級感満点。



>>【画像18枚】タコとスピードの間に水温と燃料を配したシンプルなアナログメーター。後期ZGX系とグランドエディションには、標準装備だったデジタルメーターなど

1984年式 日産 レパード TR-X 2ドア ハードトップ ターボ SGX(F30
SPECIFICATION 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4630×1690×1345
ホイールベース(mm)  2625
トレッド前/後(mm) 1400 / 1385
車両重量(kg)  1250
エンジン型式  L20ET型
エンジン種類 直列6気筒SOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 78.0×69.7
圧縮比 7.6:1
最高出力(ps / rpm) 145 / 5600
最大トルク(kg-m / rpm) 21.0 / 3200
変速比 1速 2.842 / 2速 1.542 / 3速 1.000 /
4速 0.686 / 後退 2.400
最終減速比 3.900
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ストラット / セミトレーリングアーム
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク / ディスク
タイヤ 195 / 70R14(前後とも)
発売当時価格 209.3万円(5速 MT)


【2】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2015年 07月号 vol.30
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1984年式 日産 レパード TR-X 2ドア ハードトップ ターボ SGX(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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