排ガス規制に合わせた改良を余儀なくされた悲運のグロリア 330 グロリア 2

       
1971 NISSAN GLORIA 2000GL-E
日産 グロリア 2000GL-E




 初代グロリアは富士精密工業(のちのプリンス自動車)が製造・販売。ALSIスカイラインの派生モデルとして誕生。62年に誕生した2代目のS40では宮内庁に納品されるなど高級車としての地位を築いた。

 67年に誕生した3代目のA30で車名が日産グロリアとなり、名実共に日産車に。縦に並んだ4灯式ヘッドランプが特徴のいわゆる「タテグロ」である。71年に誕生した4代目の230からセドリックと基本構造を統一した姉妹車としてラインナップ。

 そして今回の撮影車両である5代目の330は75年6月に誕生する。同じ年の10月には2000GL‐E/SGL‐Eを追加。230以来の5速マニュアルも復活。76年には昭和51年排出ガス規制適合で331へ移行。4ドアハードトップに角型ヘッドライトとなったFタイプを追加し、77年には最高級グレード2800Eブロアムが追加され、セダンとバンにグロリア初のSD22型OHV 2200ディーゼルエンジン搭載車も設定された。

 さらに78年には昭和53年排出ガス規制適合で332に移行。セダンと4ドアハードトップに2800Eブロアムとほぼ同じ装備の2000SGL‐Eエクストラが追加された。

 中東戦争によって起きたオイルショックや高度成長期の弊害である公害問題でクルマに対する社会情勢は芳しいものではなく、排出ガス対策が施された76年式の331は車体に対しての動力性能が不足気味で、走らないクルマとしてのイメージがつきまとった。ただそれをカバーするリアウインドー下からテールのボリュームあるデザインや過剰ともいえる豪華な内装、装備品はユーザーの心をつかんだ。

 

 

白い内装に、四角いデザインのため広々とした印象のコクピット。パワーウインドーも装備されている。オーナーが唯一気にしているのはダッシュボードに大きな亀裂が入っていること。

 

シートは前後席とも消耗が激しい。家族を乗せるためにもオーナーは是非修復したいと思っているようだ。

 

完全ノーマルのコクピット。AT車は、真ん中の[N]の部分がインストルメントパネル組み込みのトルコンインジケーターになる。

 

一般に社外品のシフトノブが入っていることが多いが、ノーマルのまま、しかも文字がすり減ることなく残っていた。

 



前後ウインドーを同時に開けるとピラーの無い構造を改めて実感できる。特に4ドアハードトップでは開放感が大きい。



掲載:ノスタルジックヒーロー Vol.142 ノスタルジックヒーロー2010年12月号(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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