補強はまずサイドから! 最大の利点である軽さを最大限に生かすボディメイク|1988年式 シルビア K's Vol.2

サーキットタイムアタックを目的に製作。ルックスよりもあくまでも走り重視。車高はそれほど低くしていない。

       
オーバー500psのパワーに、超高剛性なライトウエイトボディ。ツモリエンジニアリングが、1人のサーキットフリークのオーダーを受けてチューニングしたS13シルビア。開発当初は、多くの昭和生まれの車両のように、現車もすでに朽ちゆく寸前、見るも無残な状態。今はそんなネガティブなイメージは微塵もない。その世代のクルマに精通するチューナーだからこそできた復活劇。S13はまだまだ速く、面白いクルマだ。

【1988年式 シルビア K’s Vol.2】

【1】から続く

 最大の利点である軽さを最大限に生かす。オーナーがマシンメイクを依頼したツモリエンジニアリングは、S13のチューニングを、まずはボディメイクからスタートする。当初から、ホワイトボディにしてのフル補強を計画していたため、傷みの進んだボディの状態はさほど気はならない。それよりも、マシンメイクを手がけたツモリエンジニアリングの津守玲央さんが気にしたのが、助手席下のサイドフレームの状態だ。実はS13のサイドフレームには一部途切れている部分があって、そこがこのクルマのボディの一番の急所。補強する場合は、まずはここからが鉄則なのだ。津守さんいわく、

「シビアにいうとS13のボディは、製造された時点ですでにバランスを崩した状態です。だから補強する場合は、まずはサイドフレームの延長をやる。後回しにするとボディを歪ませたまま補強してしまうことになります」。
 ロールバーをつけたりスポットを増設したり、派手なメニューにどうしても目が行きがちなボディ補強だが、大事なのは弱点をしっかりとカバーできているかどうかだ。

>>【画像38枚】高度に軽量化された室内。ダッシュボードも撤去。文字通りドライビングに必要なもの以外はなにもないという印象。重量バランスを考え助手席の足元にセットされているバッテリーなど



途中で切れているサイドフレームを延長加工。S13の弱点でもある個所で、これなしでバランスのとれたボディメイクは不可能だ。





リアサスの付け根は、負荷が大きく、疲労がたまりやすい部分だ。ガセットを当てて、強固に補強されている。




インテリアもスパルタン。不用品を完全撤去し、フルスポット、フル補強で仕上げられている。


1988年式 シルビア K’s(S13)
SPECIFICATION 諸元
●エクステリア:オリジナルグリーンオールペイント、ボディフルスポット増し&補強、FRPボンネット
●エンジン:CA18DET型改、鍛造ピストン、トラスト製グレッディTD06タービン
●点火系:ダイレクトイグニション
●吸気系:トラスト製インタークーラー、ワンオフサージタンク、インフィニティ用ビッグスロットル、
 ブローオフバルブ、ワンオフサクションパイプ
●燃料計:SARD製280ccインジェクター/コレクタータンク
●制御系:ハルテック
●排気系:ワンオフタコ足、HKS製ウェイストゲート
●駆動系:OS技研製ツインプレートクラッチ
●足回り:RG車高調、アーム&メンバー補強
●ブレーキ:R32用4ポットキャリパー、ウィルウッド製マスターシリンダー(マスターバックレス)
●タイヤ:アドバンA050 225/50R15
●ホイール:ワーク・マイスターS1 15×8.5J +5
●内装:ハルテックIQ3メーター、ブリッド製バケットシート、タカタ製フルハーネス、ロールケージ

【3】に続く

初出:ノスタルジック スピード 2018年2月号 vol.015
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1988年式 シルビア K’s(全3記事)

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【1】から続く

text : ISAO KATSUMORI(ZOO)/勝森勇夫(ズー) photo : RYOTA-RAW SHIMIZU(FOXX BOOKS)/清水良太郎(フォックス ブックス)

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