【1966年生まれのクルマたち】ホンダSを「CART開催のもてぎ」で走らせたい! テレビの企画でレストア|1967年式 ホンダ S800

総アルミ製のエンジン。重心を下げるため左へ45度傾斜させて搭載している。水冷直列4気筒、2バルブ式のDOHCで、791ccから70psを発生。クランクは2輪メーカーらしく、組み立て式のニードルベアリング支持が独特。

       
【1967年式 ホンダ S800 Vol.3】

【3】から続く

 約20年前に日本へ逆輸入されたS800。ホンダSシリーズを多く手がける埼玉県のガレージイワサによりレストアを受けることになるのだが、この復活劇にもドラマがあった。

 1997年に日本初の本格オーバルレーシングコースであるツインリンクもてぎが完成。アメリカのフォーミュラレースであるCARTが日本でも開催された。その2000年度のレースに合わせ、ホンダSをもてぎで走らせたいという打診をテレビ番組の制作会社から受ける。しかもそのSは、出演者にレストアさせたいというのだ。

 日本テレビ系列で放送された「BOON!」という番組を覚えている読者はいるだろうか。当時デビューしたてのグラビアアイドルである眞鍋かをりさんやV6の長野 博さん、川平慈英さんが出演したモータースポーツ番組だ。

 岩佐さんはこの仕事を受ける上で、ヤラセは絶対にしないと決め、1台のSがバラバラの状態から完成していく様子を視聴者に見てもらおうと決めた。ガレージイワサのスタッフと出演者との共同作業。出演者には塗装をはがしてもらったり、フレームの塗装にも積極的にチャレンジしてもらった。

 最後はステアリングを眞鍋かをりさんが取り付け、Sは見事レストア完成。ツインリンクもてぎを眞鍋さんのドライブで駆け抜けた。


>>【画像39枚】リアフェンダーは鉄板で新たに製作。眞鍋かをりさんが塗装したフレームなど





> ケイヒンのCV式キャブレターを4連装。エアクリーナーはユニクロームメッキ仕上げになっている。エンジン全体がレストアから時が経ち、使い込まれた風合いが出ている。





> リアサスペンションは独創的だったチェーンドライブによる左右独立トレーリングアーム式から、リジッドアクスル(ライブアクスル)に方式を変更。簡略化だが、運動性は向上した。


OWNER


 オーナーは約15年前、このホンダS800を入手したばかりの時に、四国で開催されたブルーアイランドラリーに参加。この時、ナビゲーターには当時付き合い始めたばかりの奥さまを誘った。これをきっかけに2人の仲は近づき、結婚して現在は3人のお子さんに恵まれている。北海道赤平市でのクラシックイベントに出かけるなど、家族の側にはずっとホンダS800があった。


1967年式 ホンダ S800(AS800)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3335mm
全幅 1400mm
全高 1215mm
ホイールベース 2000mm
トレッド前/後 1162 / 1150mm
最低地上高 190mm
室内長 840mm
室内幅 1195mm
室内高 935mm
車両重量 725kg
乗車定員 2名
最高速度 160km / h
0→400m加速 16.9秒
登坂能力sinθ 0.363
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 AS800E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 791cc
ボア×ストローク 60.0×70.0mm
圧縮比 9.2:1
最高出力 70ps / 8000rpm
最大トルク 6.7kg-m / 6000rpm
変速比1速 4.001 / 2速 2.400 / 3速 1.613 / 4速 1.143 / 後退 4.572
最終減速比 4.714
燃料タンク容量 30L
ステアリング形式 ラック&ピニオン式
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン・コイル / 5リンクリジッド・コイル
ブレーキ前/後 ディスク / ドラム
タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
発売当時価格 65.3万円


【4】に続く


初出:ノスタルジックヒーロー 2016年12月号 Vol.178(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1967年式 ホンダ S800(全4記事)

関連記事: 1966年生まれのクルマたち

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【1】【2】から続く

photo:ISAO YATSUI/谷井 功

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