アメリカではエンジンスワップの素材としてポピュラーな存在であるロータリーエンジン。とはいえ、実際に使用されるのは歴代RX-7などに搭載された2ローターの13B型がほとんどだ。そこでモアパワーにあこがれるカリフォルニア在住の510オーナーが選んだのが、3ローターターボの20B-REW型だった!
【1968年式 ダットサン 510 Vol.3】
【2】から続く そして後年、フルオリジナルのダットサン510を手に入れたアヴェーナさんは、「オレの510にも20B型ターボを載せたい! 」とフランコさんに相談を持ちかけた。ただし、いくらロータリーエンジンが小さいとはいえ、デカいシングルターボも合わせて載せるとなると、さすがにスペース的に無理がある……。ということで、フランコさんはタコ足やオイルパン、ラジエーターなど、さまざまなパーツをワンオフで作りながら小型化し、510のエンジンルームにフィットさせていった。
エンジン本体には吸気ポートを拡大加工するストリートポートを施し、ダウリングピンと呼ばれるロータリーエンジン独自のスタッドボルトも強化品に変えて高出力化に対応。ターボネティックスのφ80mmタービンを備え、オーストラリアのマイクロテック製ECUで制御することにより、パワーは500 psを実現しているという。
まだまだ発展途上とのことだが、ヒスパニック系ならではの豊かな発想で、510と3ローターターボの組み合わせを実現した稀有なエンジンスワップ例として、誰の記憶にも残る一台となるに違いない。
>>【画像17枚】オートエグゼのフルオーバーホール仕様の証であるプラーク。インテリアは基本的にノーマルをキープされた中、マツダRX-7用の5速MTに換装されたトランスミッションなどベースエンジンは、かつて日本のオートエクゼがレース用エンジンと同様のプロセスでフルオーバーホールを施したコンプリート仕様。いわゆるブリッジポートほど大きくはないが、吸気ポートを拡大させる「ストリートポート」を施してある。ディテールにもこだわり、インマニやスロットル、オルターネーターなどはポリッシュで見栄えをアップした。
シングル化したタービンはφ80mmと大径のターボネティックス製を採用。狭い510のエンジンルームにもフィットするよう、オリジナルの吸排気レイアウトを構築した。
1968年式 ダットサン 510(PL510)SPECIFICATIONS 諸元
■エンジン:20B-REW型換装、オートエグゼ・フルオーバーホール、ストリートポート、強化ダウリングピン、ターボネティックス製φ80mmタービン
■吸気系:グレッディ製ブローオフバルブ
■排気系:ワンオフタコ足、ツインマフラー
■燃料系:ワンオフフューエルサージタンク、エアロモーティブ製EFIレギュレーター
■点火系:ボッシュ製イグニッションコイル
■制御:マイクロテック製ECU
■冷却系:ワンオフラジエーター&電動ファン、ワンオフインタークーラー、ワンオフオイルライン
■駆動系:FD用5速マニュアルトランスミッション
■サスペンション:TSRオリジナル・ワンオフサスペンション
■ブレーキ:(F)ブレンボ対向4ポット (R) ブレンボ対向2ポット
■タイヤ:ヨコハマS.Drive(F/R)215/35R18
■ホイール:SSR プロフェッサー SP3 (F/R)18インチ
初出:ノスタルジックスピード 2017年11月号 vol.014(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
1968年式 ダットサン 510(全3記事)関連記事:エンジンスワップの挑戦者たち 関連記事: ダットサン【1】【2】から続く