「フェアレデー」が正式名称だった初代モデルSPL212|1961年式 ダットサン フェアレデー 1200

ボンネット中央に「DATSUN」エンブレムを装着。

       
フェアレディという車名は、日産のスポーツカーの名前として、今なお、さん然と輝いている。そのルーツは、1959年6月に登場したダットサン・スポーツ(S211)にさかのぼる。翌60年1月にエンジン排気量を1Lから1.2Lにアップ。ダットサン・フェアレデーの車名が与えられ、輸出専用モデル(SPL212)として生産が続けられた。その後のSP/SR、S30フェアレディZと、国産スポーツカーの雄として、多くのファンを魅了したクルマであることは、皆がよく知っている。そんなフェアレディ各モデルを、個体それぞれが持つ「物語」と一緒に、振り返っていこう。

【1961年式 ダットサン フェアレデー 1200 Vol.1】

【1】から続く

 日産が戦後初のスポーツカーとして世に送り出したのが「ダットサンスポーツDC‐3」。1958年には、その後継モデルとして「ダットサンスポーツS211」が誕生した。シャシーやエンジンはダットサン210系から流用しているが、当時の新素材であるFRPボディを組み合わせたオープン4シーターとなった。ただし、わずか20台を生産しただけで、1960年1月にモデルチェンジし、SPL212が登場。型式のSPLの「L」は、レフトの意味を表しており、国内登録ができない左ハンドルの輸出専用モデルとなった。


▶▶▶【画像21枚】DATSUNの刻印のある灰皿や、ドアハンドル、オープナーのほかに、脱着式サイドウインドーを固定するロックが装備されているドア内張りなど

 このSPL212から、「フェアレデー」の名称が与えられた。命名したのは当時の日産自動車の川又克二社長で、大ヒットしたミュージカル「マイフェアレディ」に由来する。表記としては、「フェアレディ」ではなく当時は「フェアレデー」が正式名称として使われた。



トランクの右側にはグリルと同じデザインのエンブレムを装着。





フロントフェンダー左右に「Fairlady」のロゴエンブレムがさん然と輝く。





フロントグリルの中央左側には「DATSUN 1200」のエンブレムが。






基本スタイルはS211を踏襲する初代フェアレデーのSPL213。ボディは2トーンカラーで塗られ、写真の白/赤と逆パターンの赤/白のほか、白/青、赤単色などがあったようだ。


1961年式 ダットサン フェアレデー 1200(SPL213)
Specification 諸元
全長 4025mm
全幅 1475mm
全高 1365mm
ホイールベース 2220mm
トレッド前/後 1186 / 1177mm
室内長 1380mm
室内幅 1065mm
室内高 1100mm
車両重量 890kg
乗車定員 4名
最高速度 130km / h
エンジン型式 E1型
エンジン種類 水冷直列4気筒OHV
総排気量 1189cc
ボア×ストローク 73.0×71.0mm
最高出力 60hp / 5000rpm(SAE)
最大トルク 8.8kg-m / 3600rpm
変速 機前進4段(2~4速 シンクロメッシュ)1速 3.945 / 2速 2.402 / 3速 1.490 / 4速 1.000 / 後退 5.159
最終減速比 4.625
燃料タンク容量 32.5L
ステアリング形式 カムアンドレバー式
サスペンション 前/後独立懸架トーションバー / リーフリジッド
ブレーキ 前後ともリーディングトレーリング
タイヤ 前後とも5.20-14-4P
輸出専用

【2】に続く

初出:ノスタルジックヒーロー 2016年10月号 vol.177(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1961年式 ダットサン フェアレデー 1200(全4記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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