「できるだけ街乗り重視のスタイルで作っています。乗りにくいクルマにはしたくないので」と笑うオーナー 〜2017〜|1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.4

「とにかく太いのが履きたかった」という理由で、4ドアのハコスカとしては異例のワーク マイスターM1の17×9Jと10Jに、215/40R17と235/45R17のフェデラル595RSタイヤを装着。当然、前後にオーバーフェンダーを装着しており、かなりの迫力だ。

       
「人は見かけによらぬもの」というが、同じことがクルマにも当てはまる。見た目の派手さ、ヤンチャさに気を取られていては、本当のポテンシャルを見失いかねない。そう、ゴールドボディに延長オバフェン、17インチのワイドホイールで固めた見た目が派手なハコスカの真の姿は、サーキット走行を得意とする実戦的なマシンなのだ。戦うために与えられた強力なウエポンとは、φ48㎜のMSRキャブレター。その真髄に肉薄する!

【1972年式 日産 スカイライン 2000 GT Vol.4】

【3】から続く

 内装を見ると、本格的な走りを求める姿勢をより強く感じることができる。なにせメーター類からオルガン式ペダル、ドライバーズシート、ロールケージにいたるまで交換され、純正の面影など微塵も残っていないからだ。

 それでも「できるだけ街乗り重視のスタイルで作っています。乗りにくいクルマにはしたくないので」と笑うオーナー。これだけのスペックを抱えながら、街乗りがメインというのにも驚かせられるが、彼が高校生の頃からハコスカに乗っていたという逸話にも驚かされた。「他に乗りたいクルマがないんで」と語るのは簡単だが、それを実行し、ハコスカとL型エンジンに愛情を注ぎ続けることは難しい。だからこそ、このハコスカは、特別なオーラを放っているのだ。

▶▶▶【画像39枚】タイヤとの接触を避けるように薄く作られたアルミのブローバイタンクが確認できた運転席側のタイヤハウス内部など


OWNER’S VOICE



免許を取った高校生の頃からハコスカに乗り始め、現在の愛車は21歳の時に仕事仲間から手に入れた2台目だそう。それから24年の間、一度も売ろうと思ったことなどないそうで、15年前から通い始めたサーキットでの経験を次々とハコスカにフィードバックし、自分の理想の形と性能を追い求め続けている。





機能美あふれるインテリアに合致する商品として、モモレースのステアリングを選択。ワークスベルのラフィックスボスを組み込むことで、ロールケージが張り巡らされたコクピットへの乗り降りの利便性も確保している。





各種メーターからヒューズボックス、燃料ポンプや電動パワステのスイッチ、ETCまで並ぶワンオフのインパネ。圧巻の光景だ。





ウィルウッドのオルガン式ペダルに交換しているが、「渋滞でも楽。乗りやすい」と大満足。フレームの中にマスターシリンダーを設置するなど、大工事を伴ったそうだ。





アルミノブ付きシフトレバー奥側にあるメーターは、左がノックセンサー、右がデフオイルの油温計となる。シフトレバー後方のスイッチ類は、赤いレバーがリアブレーキの油圧バランサーで、中央の黒いダイヤルは点火タイミングコントローラー、赤いダイヤルはブレーキペダルのレバー比調整を行うためのもの。通常のストリート走行では宝の持ち腐れだが、サーキット走行時には威力を発揮する。



1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(GC10)
Specification 諸元
■エクステリア:オリジナル調色ゴールドオールペイント、FRP製ボンネット&トランク、プロテックフロントスポイラー(ゴールド)、ワンオフフロントスポイラー(ブラック)、前後バンパーレス、ワイパー取り付け位置変更、フロント三角窓&リアドアガラスポリカーボネート化、リアウインドー熱線なしガラス交換、須坂自動車オーバーフェンダー2㎝拡大、510スカイライン用フェンダーミラー(取り付け位置変更済み)、69年式ウインカーレンズ、70年式テールレンズ、リアアンダー切り欠き拡大加工
■エンジン:L28型改3.1ℓ(3131㏄)、ボアφ89.5㎜×ストローク83㎜(圧縮比12.2)、和光製ピストン(ピンハイト27㎜)&コンロッド、カム(74度、9.6㎜リフト)、バルブサイズ(INφ46㎜、EXφ36.5㎜)、LD28型クランク(後端6㎜カット)、亀有製ツインアイドラーギア、TIベイビー製アイドラーギアストッパー、オイルパン前溜まり仕様に変更、フラム製オイルフィルター、ヘッドカバー加工(先端出しブローバイ)、フェンダー内蔵ワンオフブローバイタンク&ラジエーターキャビテーションタンク&サブタンク、US製ホースフィッティング
■吸排気系: まつおか製MSR用インテークマニホールド(ワンオフアルミスペーサー付き)、MSRφ48㎜キャブ、特注ステンレスタコ足(6-2-1)、特注ステンレスφ3インチマフラー
■点火系:マロリー製デストリビューター、MSD製ブラスターHVCⅡコイル/タイミングコントローラー/6AL
■冷却系:サイドタンクアルミラジエーター、マッスルカージャパンワンオフファンシュラウド、ステンレスファン、ラジエーターリザーバータンクヒドゥン、キノクニ製オイルクーラー、ランマックス製デフオイル用油温計、プロショット製デフオイルポンプ、デフクーラー&タンク
■燃料系:キノクニ製コレクタータンク(4ℓ)、ホーリー製燃料ポンプ(純正タンク→コレクタータンク)、ニスモ製燃料ポンプ(コレクタータンク→キャブ)、ボッシュ製燃料フィルター
■操舵系:ラックアンドピニオン、電動パワーステアリング
■駆動系:OS技研製ツインクラッチ、ルート6製 3速クロスミッション+5速0.864フルクロス化、R180デフ(ファイナル3.9)、内田モーターワークス製アルフィンデフカバー、亀有製デフフランジ
■サスペンション:S14用4Hハブ移植、(F)ビルズ製フルタップ車高調(コイル10㎏/㎜)、ロワアームエンドピロ加工、ピロテンションロッド(R)ビルズ製ショックアブソーバー/コイル25㎏/㎜、内田モーターワークス製偏心ブッシュ、自作コイルマウント、ピロ式スタビリンク
■ブレーキ:チルトン製マスターシリンダー、レバー比調整ダイヤル(ペダル)、リアブレーキ油圧バランサー(F)APレーシング製4ポットキャリパー、フローティングφ330㎜ローター(R)APレーシング製4ポットキャリパー+サイドブレーキキャリパー、フローティングφ330㎜ローター
■インテリア:モモレースステアリング、ワークスベル製ラフィックスボス、カーキー製バケットシート(運転席)、ブリッド製バケットシート(助手席)、サベルト製ハーネス、ウィルウッド製オルガンペダル、Defiリンクメーター アドバンスZD/タコメーター、T.A.G.ami P-LAPⅢ、オートメーター製燃料計/燃圧計/電圧計、NGK製A/F計、デフオイル油温計、9点式ロールケージ
■タイヤ:フェデラル595RS(F)215/40R17(R)235/45R17
■ホイール:ワークマイスターM1 (F)17×9J(R)17×10J


初出:Nostalgic SPEED 2017年3月号 vol.012(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1972年式 日産 スカイライン 2000 GT(全4記事)

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【3】から続く

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