軽自動車初の5MT&ディスクブレーキ採用! ホンダの技術をつぎ込んだ360ccクーペ 1

71年式 ホンダZ GS

 1970年9月に発売されたホンダZは、ホンダNⅢ360シリーズをベースにして開発されたモデルだ。
ファミリーカーであったN360に対し、スポーティーな2ドアクーペボディが与えられており、軽自動車として初めて、いわゆる高級イメージのコンセプトに沿って開発されたクルマである。

 実際に、軽自動車らしからぬスタイルや新鮮なカラーバリエーションなどを受け、ホンダZはN360に引き続いてヒットモデルとなった。

 発売翌年の1月には最上位のスポーティーグレード「GS」を発売。
 軽自動車として初めて、倍力装置付きのディスクブレーキをフロントに採用し、これも軽では初採用となる5速ミッションと最高出力36psの強制空冷直列2気筒SOHCエンジンを組み合わせている。
 また、シートにも通気孔付きのスポーツタイプシートが採用され、さらに気分を高めている。
 
 その後、71年11月にはN360がライフにモデルチェンジしたことに伴い、Zもベース車が変更。
 基本デザインはそのままだが、エンジンを水冷化。ホイールベースも延長し、ロングノーズ化されている。
 最上位モデル「GTL」は、5速ミッションはそのままながら、フロントブレーキはドラム式に戻された。
 その翌年11月にはセンターピラーを廃止し、スライド式のクオーターウインドーを採用したハードトップモデルが発表・発売される。

 しかし、2年後の1974年、ホンダの軽自動車一時撤退にともない、生産終了となってしまうのである。


ホンダZの水中メガネ
リアビューはホンダZ最大の特徴。「水中メガネ」と呼ばれる特徴的なリアウインドー部分はこのクルマのアイコンである。
維持に厄介なのもここで、ガラスと独特の外枠の間に入るモールのゴムが劣化して雨漏りしてしまうのだ。
純正品が見つからない上、構造的にも漏れやすいので、似た形状のモールを流用しているという。


ホンダZのヘッドライト
ヘッドライトは実用性を重視し、ネオライフ製のリレーキットを組み込むとともに、シールドビームからH4バルブが利用可能なライトユニットに変更している。



ホンダZのサイドビュー
サイドから見ると寝かされたフロントウインドーなど、クーペらしいスタイルがよく分かる。GSはノーマル状態で他グレードより5mm車高が低い。



ホンダZのボンネット
「H」マークのエンブレムが装着された低いフロントノーズとともに、ボンネットのパワーバルジがデザイン上の大きなアクセントとなっている。


ホンダZのクォーターエンブレム
リアクオーターパネルにある「Z」のエンブレムは各グレードで共通だが、ここににグレードを示すエンブレムが装着されるのはGSのみである。



ホンダZのテールランプ
リアのコンビネーションランプは、ウインカーもブレーキと一体化した赤色のランプになっている。








掲載:ノスタルジックヒーロー 2019年4月号 Vol.192(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo:Masataka Miyano/宮野政崇

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