誇り高いPRINCEのエンブレムを見よ! 2代目スカイラインの最終形 パート2

       
そんな、珍しいクルマと学生時代に出合ったというのがオーナーの長谷川真さん。
古いバイクに興味があり、雑誌の個人売買で知り合った布目庄七さんからクルマの存在を聞いたという。

「知り合いの鉄工所に古いスカイラインが置いてあると言うんです。当時、私がクルマに乗るなんて、まったく考えてもいませんでした。まさか、自分がクルマを手に入れるとは思いもしなかったことです」と長谷川さん。

 当時、スカイラインの存在やシングルナンバーの意味も知らなかったが、古いバイクを修理しながら乗っていたことで、60年代のクルマに対して抵抗を感じなかったという。

 そんな様子を見て、前オーナーも何かを感じ取ったのか、長谷川さんを信頼して譲ってくれることになった。

 鉄工所の片隅に置かれていたクルマは鉄粉と落ち葉に覆われ、タイヤは完全につぶれていた。タイヤへ空気を入れ、バッテリーをつなぐと、運良くエンジンがかかったので、そのまま、クラシックバイクを扱うショップへ持ち込み、キャブの調整などを行った。

 その後、クラッチ板交換以外は大修理もなく、現在の状態で維持され続けている。10年間乗った後、結婚と引越しのため、クルマを手放すことになったのだが、前オーナーの好意により5年間引き取っていただいた。


ボディカラーはアイボリーミスト。当時は5種類のカラーバリエーションがあった。オーナーは一度も全塗装したことがないという。


初代のテールフィンの面影を残すリアデザイン。以前に比べ大型化されたリアコンビネーションランプを装備。



66年の日産とプリンスの合併を経て、リアの左側に小さな「NISSAN」のエンブレムを掲げた。トランクフードには「PRINCE」エンブレムも共存している。


最高出力は18ps上がり、スポーツカーのパワーを秘めた高性能ファミリーカーとうたわれた。S57Dは1500DXだけがSOHCで、スタンダードモデルはOHV。


クラッチフルードの汚れに悩まされていたオーナー。原因を探ると、クラッチマスターシリンダーがぐらついていたという。そこでバルクヘッドに強化プレートを張って対応した。


88psのパワーを誇らしげに表すようなプレート。日産のみの表記も特徴とえいる。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2017年6月号 Vol.181(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

photo : Hirotaka Minai/南井浩孝 text : Keishi Watanabe/渡辺圭史

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