わずか全長4130ミリの伸びやかな肢体|未来を示唆した独創のフォルム コスモスポーツ 1

       

クーペが輝いていた時代
72年式 マツダ コスモスポーツ(L10B)


 半世紀以上前の1964年10月。東京・晴海で開催された第11回東京モーターショーの会場において、2ローター・ロータリーエンジン(以下RE)を搭載するコスモスポーツが、初めてお披露目された。

 世界で生産されるクルマのほとんどがレシプロエンジンを採用する中、市販を前提としたショーモデルながらREが搭載されていたことは、まさに画期的な出来事だった。

 実際の市販までには、この後2年半の期間が必要だったのだが、モーターショーに展示された、過去に見たことのない斬新なクーペフォルムとコスモ(宇宙)スポーツの車名、そしてRE搭載という3つの要素は、世間に与えるインパクトとして、当時最強だったと言えるだろう。

コスモスポーツのリアビュー
68年7月にデビューした後期型L10Bでは、前期型に対して150㎜ホイールベースが延長された。外観上ではドアの後ろのリアフェンダーの長さ、リアバンパーのサイド部分の長さとバンパー下のアンダーカバーの形状などが異なっている。


 一方、REが量産車へ初採用となるということで、お披露目の後にとった東洋工業の手法は、今の時代には考えられないものだった。

 66年に入り、60台のコスモスポーツのプロトタイプ(試作車)を用意。全国のマツダ販売店に配ったのだ。
 そして普段の業務の中で多くの人々に乗ってもらい、メーカーの開発テストでは見つけられなかった不具合のあぶり出しを行った。

 この手法の指示は、当時の松田恒次社長から出たもの。社運を懸けて開発したREを、絶対に成功させるという執念が感じられるエピソードだ。


コスモスポーツのリアエンブレム
ブロック体のMAZDAのエンブレムは、リアバンパー上のパネルに取り付けられる。


コスモスポーツのエンブレム
フロント中央にある、ロータリーをかたどったエンブレム。


コスモスポーツのロゴ
左側ヘッドライトの横にある筆記体の車名エンブレム。





■Specification

●全長4130mm●全幅1590mm●全高1165mm●ホイールベース2350mm●トレッド前/後1260/1250mm●最低地上高125mm●車両重量960kg●乗車定員2名●最高速度200km/h●登坂能力tanθ0.553●最小回転半径5.2m●エンジン型式10A型●エンジン種類水冷2ローター・ロータリー●総排気量491cc×2●圧縮比9.4:1●最高出力128ps/7000rpm●最大トルク14.2kg-m/5000rpm●変速機前進5段・後退1段 前進フルシンクロメッシュ●変速比1速3.379/2速2.077/3速1.390/4速1.000/5速0.841/後退3.389●最終減速比4.111●燃料タンク容量57ℓ●ステアリング形式ラック&ピニオン●サスペンション前/後独立懸架筒型複動オイルダンパー・コイルバネ/筒型複動オイルダンパー半楕円形板バネ●ブレーキ前/後ディスク/リーディングトレーリング●タイヤ前後とも155HR15ラジアル●発売当時価格158万円

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