FFなのに他に類を見ないほど低いボンネットを実現できた技術|1985年式 ホンダ プレリュード XX Vol.1

FF車では異例なほど低いボンネットとリトラクタブルヘッドライトが特徴的なフロントマスク。ヘッドライトは、当時感を出すためにイエローバルブを装着している。

       
初代シビックのイメージを引き継ぎながら、ひとクラス上のクルマとしてデビューしたのがプレリュード。
当時を知る人には妙に心に残る、そんなクルマでもある。

【1985年式 ホンダ プレリュード XX Vol.1】

 世代が代わってブレイクしたモデルは少なくない。プレリュードもその1台と言えるだろう。1978年にホンダ久々のパーソナルクーペとして登場した初代は、アメリカやヨーロッパでこそ人気を博したものの、日本国内では大ヒットにまではいたらず1982年にモデルチェンジ。代わって世に送り出された2代目は、その後80年代を代表する「デートカー」として一世を風靡することになる。

いすゞ ピアッツァなどと同じシングルタイプが採用されたワイパーなど【写真15枚】


 2代目プレリュードがデートカーとして大ブレイクした理由は、何と言っても端正なスタイリングと斬新なデザインだろう。

 ワイド&ローを強調したフォルムは美しさとスポーティー感を持ち合わせたもので、独自設計のダブルウイッシュボーン式フロントサスペンションの採用により、FF車には他に類を見ない低いボンネットを実現。さらに、当時の流行だったリトラクタブルヘッドライトを取り入れ、先進的なルックスと優れた空力性能を高次元で両立したのである。

 そして、知的さを感じさせるそのフォルムが支持され、爆発的なヒットを生み出したのだ。

 また、当時のスペシャリティーカーと言えば、初
ソアラやBMW3シリーズが代表作。しかしプレリュードは、200万円にも満たない価格ながら、それらの高級車を相手に一歩も引けをとらない人気と地位を獲得した希少な存在でもあった。




女性たちが狂喜乱舞、一世を風靡した元祖デートカー。





日本初の4輪アンチロックブレーキ設定車が、この2代目プレリュード。「4w A.L.B」とは「4Wheel Anti Lock Break」の略で、ホンダ特有の呼称だった。ちなみに、この個体はエンブレムのみで、実際には装着されていないとか。





電動スモークドガラスサンルーフは全車に標準装備。デートカーゆえ、このような女性に好まれるアイテムは必須なのだ。


1985年式 ホンダ プレリュード XX(AB)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4295×1690×1295
ホイールベース(mm) 2450
トレッド(mm) 1470(前後とも)
車両重量(kg) 990
エンジン型式 ES型
エンジン種類 直列4気筒SOHC
総排気量(cc) 1829
ボア×ストローク(mm) 80.0×91.0
圧縮比 9.4:1
最高出力(ps/rpm) 120/5800
最大トルク(kg-m/rpm) 15.6/4000
変速比 1速2.380/2速1.560/3速1.032/
4速0.777/後退1.954
最終減速比 3.875
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション前/後 ダブルウイッシュボーン/ストラット
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/70R13(前後とも)
発売当時価格 183.4万円


【2】【3】に続く

初出:ハチマルヒーロー 2014年 5月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1985年式 ホンダ プレリュード XX(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : KAZUHISA MASUDA/益田和久

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