1歳年上のGTI-R「私を守ってくれる大好きな兄です」1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.3

1歳年上のGTI-Rと。

       
【1991年式 日産 パルサー GTI-R  Vol.3】

【2】から続く

 パルサー GTI-Rに盛り込まれたありとあらゆる機構は、すべてWRC参戦を前提として開発されたメカニズム。大幅な改造が認められないグループA車両は市販車の素質の高さが重要。また、常勝中のランチア・デルタと同等のパッケージングを採用したことで、WRCでの期待も高まった。

 しかし、本来が1.5Lクラスのパルサーに2Lターボエンジンと4WDを組み合わせたことには無理があったようだ。タイヤサイズの制限や冷却の問題など、動力性能に比べてシャシーのキャパシティーが劣っていたのだ。そしてGTI‐Rは、2年という短い期間でWRCから去っていった。こうして振り返ってみると、GTI‐Rは不運のコンペティションモデルのように感じられる。しかし実際には、強烈なキャラクターで多くの人を魅了し、今でも根強いファンに支えられている幸せ者なのではないだろうか。

 オーナーも、そんなGTI‐Rに恋した一人。当初はクルマに興味がなかったため何も分からず足グルマとして使っていたが、GTI‐Rのポテンシャルの一端を体感したことがきっかけで愛情が芽生えたという。そして今では、「少しでも長く一緒にいたい! 」と思うほど深みにハマってしまったようだ。

OWNER’S VOICE/GTI-Rは頼りになる家族の一員

 GTI-Rの第一印象を「教習車と違って乗りづらかった」と話すオーナー。しかし「このクルマのおかげで、年齢や性別を超えた友人がたくさんできました!」と言うように、現在は最高のカーライフを送っているようだ。

 ちなみにこのGTI-Rは、オーナーよりも1歳年上。それだけに「私を守ってくれる大好きな兄です」と女性らしいコメントをくれた。今後も兄貴分のGTI-Rとたくさんのオフ会に参加し、友達の輪をもっと広げていってもらいたい。


大型のスピードとタコの両脇に、燃料計と水温計が並ぶシンプルなデザインのメーターなど【写真20枚】



センタークラスターを若干ドライバー側に傾け、操作性・視認性を向上させたインパネ。ステアリングやシフトノブはすべて本革となる。





センタークラスター上段には、R32GT-Rのように3連メーターが収まる。左から油温、油圧、ブーストとなる。





強烈な横Gでも身体をホールドしてくれるバケットタイプのシート。なお、この個体は中期型なので本来ヘッドレストは穴開きタイプだが、後期用に交換されていた。




1991年式 日産 パルサー GTI-R(RNN14)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 3975×1690×1400
ホイールベース(mm)  2430
トレッド前/後(mm) 1440/1415
車両重量(kg)  1230
エンジン型式  SR20DET型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.3:1
最高出力(ps/rpm) 230/6400
最大トルク(kg-m/rpm) 29.0/4800
変速比 1速 3.285/2速 1.850/3速 1.272/4速 0.954/5速 0.740/後退 3.266
最終減速比 4.125
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 195/55R14(前後とも)
発売当時価格 229.4万円



初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1982年式 日産 1991年式 日産 パルサー GTI-R (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : SATOSHI KAMIMURA/神村 聖

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