後期はより販売台数が少なく希少。ラリーでの使用を目的として開発されたSSS‐R|1990年式 日産 ブルーバード 2000 SSS-R  Vol.2

ラリーでの活躍が最大の使命、日産純正のスペシャルバージョン。

       
【1990年式 日産 ブルーバード 2000 SSS-R  Vol.2】

【1】から続く

 古くは初代の312から始まり、長きに渡ってラリーに参戦してきた日産 ブルーバード。1987年に登場したSSS‐Rは、そんな輝かしい実績を再び手に入れるために開発された「ラリースペシャル」だ。

 ここで登場するのは、その中でも後期モデルとなる1990年式のSSS‐R。1989年のマイナーチェンジでベース車両のエンジンがCA18DET型からSR20DET型に変更され、最高出力も205psまでアップ。しかし、前期のような特別なチューニングはなく、スペックもベースエンジンと同じ。ただ、ラリーで有効なクロスミッションが組み込まれ、軽量化のための装備簡略化は行われており、車両重量はベース車に対して11.0kgほど軽くなっている。

 こうして見ると、後期より前期のほうが改造個所が多く、スペシャルモデルとしての意味合いは強い。しかし後期のほうがより販売台数が少なく希少。加えて、このような極上コンディションの個体は実にレアだ。

 なお、ラリーでの使用を目的として開発されたSSS‐Rだったが、基本的には国内ラリーのみに参戦し、WRCの舞台に立つことはなかった。ただ、88年から参戦した全日本ラリーではライバルのギャランVR‐4やセリカGT‐FOUR、レガシィRSを相手に奮闘。デビュー年にドライバーズチャンピオンに輝き、1990年には当時の記録となる4連勝を達成。実力の高さを世間にアピールしたのである。


U12に最初に搭載されたSR20DET型エンジン。前期では容量アップが図られていたが、後期は標準車と同じサイズのタービンなど【写真22枚】




インパネのデザインは基本的に標準車と同じ。しかし競技ベース車ゆえ、エアコンやパワーウインドーなどは未装着となる。なお、取材車両のステアリングはニスモ製で、左右のスポーク裏側にもホーンボタンが設置されているのが特徴。





コンペティションモデルだけに、4点式ロールバーも新車時に選択できた。車検に適合させるため、ソフトパッドも巻かれている。





SSS-Rは乗員定員が2名仕様と4名仕様が存在するが、取材車両は後者。そしてリアシート左右には、乗員容積を4名分に限定するためのウレタンパッドが装着されている。



【3】に続く


1990年式 日産 ブルーバード 2000 SSS-R(HNU12)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4520×1690×1395
ホイールベース(mm)  2550
トレッド前/後(mm) 1460/1440
車両重量(kg)  1210
エンジン型式  SR20DET型
エンジン種類 直列4気筒DOHCターボ
総排気量(cc) 1998
ボア×ストローク(mm) 86.0×86.0
圧縮比 8.5:1
最高出力(ps/rpm) 205/6000
最大トルク(kg-m/rpm) 28.0/4000
変速比 1速 3.066/2速 2.095/3速 1.653/4速 1.272/5速 0.795/後退 2.944
最終減速比 4.333
ステアリング ラック&ピニオン
サスペンション ストラット(前後とも)
ブレーキ前/後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185/70R14(前後とも)
発売当時価格 235.1万円(4名乗車仕様)



初出:ハチマルヒーロー 2014年 05月号 vol.25(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1990年式 日産 ブルーバード 2000 SSS-R (全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ)

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