レース屋が造った本格スポーツカー|1966年式 ホンダ S800 Vol.1

フロントバンパーに映り込むボディからその輝きがわかる。ガレージイワサの高いレストア技術の成果だ。

       
【1966年式 ホンダ S800 Vol.1】

 旧車オーナーには、自分の思い出のクルマを手に入れたという人が多い。当時カッコよかったクルマ、レースで活躍したクルマ、人生の岐路に出合ったクルマなど、さまざまなシーンで作られた思い出が、そのクルマに反映されている。

 今回のオーナーの場合は、メカニズムの部分が強い。当時からホンダの持っていた先鋭的な機構。もちろんそれは最後発の自動車メーカーであるがゆえの苦しみだったのかも知れないが、見ている側にとってはワクワクするものだったのである。

 バイクメーカーだったホンダらしくバイクのエンジンを改良した492ccの水冷直列4気筒DOHCエンジンを搭載し、チェーンドライブで駆動させる機構をもって登場したS500。それを毎年のようにマイナーチェンジして、最終的に791ccまで拡大。それでいて創業者本田宗一郎さんのこだわりが詰まったエンジンは、驚くほど小さかった。

新品なのでまだ硬く、オープンにするのには時間がかかる幌。磨きのみで渋い輝きに仕上げたオールアルミエンジンなど【写真20枚】




ヘッドライトは老眼のため(オーナー本人談)光量の大きなハロゲンランプへと変更した。





外観だけでなくトランクの中まで輝きを放つ。





ボディカラーは好みのアルペンブルーに塗り替えられた。「落ち着いた色にしたいと要望を出しました」とオーナー。



【2】【3】に続く

1966年式 ホンダ S800(AS800)
SPECIFICATIONS 諸元
全長 3335mm
全幅 1400mm
全高 1200mm
ホイールベース 2000mm
最低地上高 160mm
車両重量 720kg
乗車定員 2名
登坂能力 20.8°
最小回転半径 4.4m
エンジン型式 AS800E型
エンジン種類 水冷直列4気筒DOHC
総排気量 791cc
ボア×ストローク 60.0×70.0mm
圧縮比 9.2:1
最高出力 70ps/8000rpm
最大トルク 6.7kg-m/6000rpm
燃料タンク容量 35L
ステアリング形式 ラック&ピニオン
サスペンション前/後 トーションバー式ウイッシュボーン独立懸架/コイルバネ式トレーリングアーム独立懸架
ブレーキ前後とも 油圧式リーディングトレーリングシュー形式
タイヤ前後とも 6.15-13-4PR
発売当時価格 65.8万円



初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1966年式 ホンダ S800(全3記事)

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photo : MASAMI SATO/佐藤正巳

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