一般から募集したペットネームを正式名称に|1965年式 トヨタ スポーツ800 Vol.2

まるで新車のようなエンジンルーム。ボンネットの裏側には、車台番号下4ケタの刻印を確認できた。

       
【1965年式 トヨタ スポーツ800 Vol.2】

【1】から続く

 最初のプロトタイプがお披露目されたのは、1962年の「第9回全日本自動車ショー」だ。この時は、「パブリカスポーツ」という名前で展示され、そのスタイルやアイデアに注目が集まった。そして、64年の「第11回全日本自動車ショー」には、ほぼ生産型となるレッドと薄く青みを帯びたシルバーの2台のパブリカスポーツを展示。2年越しの登場に会場の人気を独占した。

 プロトタイプでは「パブリカスポーツ」を名乗っていたが、発売にあたり、トヨタではペットネームを一般から募集。その中から、「スポーツ800」が正式名称として選ばれた。また、その愛らしいスタイルのためか、今でも「ヨタハチ」の愛称で呼ばれることが多い。

 スポーツ800の発売は1965年4月1日。その後、1966年4月、1967年5月に小変更が施され、68年2月にマイナーチェンジが行われた。そして1969年2月、車両保安基準の改定に伴って装備を追加した最終型が登場し、10月に生産を終了。総生産台数は3131台となる。


パブリカ用の2U-B型とも圧縮比、ハイカムの採用、クロスミッション、最終減速比などの設定が異なっていた、スポーツ800用にチューンナップされた2U型エンジンなど【写真41枚】




スポーツ800用にチューンナップされた2U型エンジン

搭載前の2U型エンジン+ミッション。前方からサイドに回り込んでいる黒いカバーは、空冷水平対向2気筒ならではのクーリングシュラウドで、エンジン前方に装着されたファンによって、グリルから取り込んだエアを両サイドに送り込み、エンジンを冷却する装置だ。また、パブリカ用の2U-B型とも圧縮比、ハイカムの採用、クロスミッション、最終減速比などの設定が異なっている。





空冷エンジンのため、熱交換タイプではなく、燃焼式ヒーターがオプションで設定されていた。燃料を燃やし、その熱を車内に送り込む仕組みで、温度調整がないため、窓を開けたり、閉めたりして調整する。エアクリーナーは、ウイングナット式のアルファベット表記のもの。90年代末まで入手できたようだ。初期型は、本来はボルト2本で装着するタイプだ。






細く長いタイプの燃料フィルターを装着。初期型は太くて大きいタイプだが、1966年以降は細いタイプに変更された。


【3】【4】に続く


1969年式 トヨタスポーツ800(UP15)主要諸元
SPECIFICATIONS 諸元
全長3610mm
全幅1465mm
全高1175mm
ホイールベース2000mm
トレッド前/後1203/1160mm
最低地上高175mm
室内長785mm
室内幅1250mm
室内高965mm
車両重量580kg
乗車定員2名
登坂能力sinθ0.441
最小回転半径4.3m
エンジン型式2U型
エンジン種類空冷水平対向2気筒OHV
総排気量790cc
ボア×ストローク83.0×73.0mm
圧縮比9.0:1
最高出力45ps/5400rpm
最大トルク6.8kg-m/3800rpm
変速比1速4.200/2速2.400/3速1.550/4速1.125/後退4.333
最終減速比3.300
燃料タンク容量30L
ステアリング形式ウオーム・セクターローラー式
サスペンション前/後ウイッシュボーン・トーションバー/非対称半楕円板ばね
ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディングトレーリング
タイヤ前後とも6.00-12-4PR
発売当時価格59万2000円


初出:ノスタルジックヒーロー 2015年 04月 Vol.168 (記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1965年式 トヨタ スポーツ800(全4記事)

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photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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