誇らしげな「2.8 DOHC」のエンブレムの意味|1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン Vol.1

ツインカム化された5M-GEU型は燃料噴射や点火時期などコンピューター制御を導入し、低燃費とハイパワーを両立。

       
【1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン Vol.1】

 技術の粋を集めて開発された1955年に誕生した初代以来、クラウンは国産乗用車の頂点に君臨。「最新技術はクラウンから」と言われるように、つねに先端技術が取り入れられ、時代をリードする象徴となった。その一方で、世代を追うごとにライバルの存在をより強く意識するようになっていた。

 1979年に登場した6代目S110系も、まさにそのようなモデルライフを送った1台。排ガス規制がひと段落し、来るべき80年代を見据えて開発された。スタイルはより直線基調が際立ち伝統的な風格とスタイリッシュさを融合。室内も重厚かつ豪華で、静粛性の高さも向上させている。そのほか、サスペンションの改良など、5代目からのブラッシュアップは数多く、基本性能が高められた。


 新型パワーユニットの投入も見逃せない。5代目のときライバルが2.8Lを用意したが、クラウンは2.6L止まり。そこで、新開発の2.8L直列6気筒SOHCの5M‐EU型を搭載。さらに、デュアルエキゾーストの採用とマフラー容量増大による背圧低減も併せて、動力性能を向上させている。

 しかし、S110系の3カ月前にデビューしていた430クラウン&グロリアは、クラウンのデビューに合わせるように日本初のターボエンジンL20ET型を投入し、それに対応するため、トヨタ初となる6気筒SOHCターボのM‐TEU型を1年後に搭載。

 さらに追い打ちをかけるべく、マイナーチェンジで投入されたのが新パワーユニットの2.8L直列6気筒ツインカムの5M‐GEU型だったのだ。


マイナーチェンジで追加された新パワーユニット、2.8L直列6気筒ツインカムの5M‐GEU型エンジンなど【写真19枚】





その性能を430セド・グロにアピールするように、フロントグリルに誇らしげに掲げられる「2.8 DOHC」のエンブレム。






オーナーのこだわりで自慢でもある、二けたナンバー。地元・静岡県で新車時から乗られていた個体だったそうだ。バックランプはLEDではなくHID化している。






新型エンジンを積極的に導入し、伝統と新時代の融合を果たす。




【2】【3】に続く



1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン(MS112)
SPECIFICATIONS 諸元
全長×全幅×全高(mm) 4860×1715×1410
ホイールベース(mm) 2690
トレッド前/後(mm) 1430/1400
車両重量(kg) 1500
エンジン型式 5M-GEU型
エンジン種類 直列6気筒DOHC
総排気量(cc) 2759
ボア×ストローク(mm) 83.0×85.0
圧縮比 8.8:1
最高出力(ps/rpm) 170/5600
最大トルク(kg-m/rpm) 24.0/4400
変速比 1速 2.452/2速 1.452/3速 1.000/4速 0.689/後退 2.212
最終減速比 4.300
ステアリング形式 ボールナット
サスペンション前 / 後 ダブルウイッシュボーン/車軸式
ブレーキ前 / 後 ベンチレーテッドディスク/ディスク
タイヤ 185SR14(前後とも)
発売当時価格 336.7万円


初出:ハチマルヒーロー 2013年 11月号 vol.23(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1983年式 クラウン 4ドア ハードトップ 2800 ロイヤルサルーン(全3記事)

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text : Rino Creative/リノクリエイティブ photo : MAKOTO INOUE/井上 誠

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