水平対向エンジンを搭載したオート三輪|1959年式 ヂャイアント AA26F Vol.1

車検取得を前にして、試運転中のヂャイアント。実動車は果たしてこれ1台なのか? 

       
【1959年式 ヂャイアント AA26F Vol.1】

 愛らしい外観と使いやすさを兼ね備えた軽自動車「コニー」や「グッピー」を生産していたことで知られる愛知機械工業。その当時、オート三輪を「ヂャイアント」の車名で販売していた。ユニークなデザインと機構を持つ、実用性の高いトラックだった。

 1950年代から60年代の日本は、町にオート三輪があふれていた。運送屋や材木屋、工場など、物を運ぶ商売をしている人たちを中心に、マツダやダイハツなどのオート三輪が重宝に使われていた。小回りの利く軽三輪車から、1t以上も積める小型三輪車まで、産業を支える道具として、昭和の風景に溶け込んでいた。

 みずしま(三菱)、オリエント、ホープスター、くろがねなどのメーカーから大小さまざまなオート三輪が発売されたが、その中に小型三輪車を「ヂャイアント」の車名で生産しているメーカーがあった。それが愛知機械工業である。現在は日産自動車系の協力メーカーとして重要な役割を担っているが、1970年までは自社ブランドを持ち、ユニークな車両を造る自動車メーカーだった。

 今回、保護指定するヂャイアントAA26Fは、シリーズの中核を担う1t積みのトラックだ


シート座面とフロアのパネルの下にマウントされた、水冷水平対向2気筒OHVのAE25型エンジンなど【写真27枚】





当時はトラックも格調高かった。しっかりデザインされたエンブレムがボンネット先端に付き、メーカーの製品に対する自信がうかがえた。




ホーンボタンには別デザインのマークが施される。





運転席の右後ろのパネルに付く型式プレート。年式は1959年と刻まれているが、書類の初度登録は昭和33(1958)年となっている。


【2】【3】に続く


1959年式 ヂャイアント AA26F
SPECIFICATIONS 諸元
全長 4000mm
全幅 1755mm
全高 1820mm
ホイールベース 2565mm
車両重量 1090kg
乗車定員 3名
エンジン型式 AE25型
エンジン種類 水冷4サイクル水平対向2気筒OHV
総排気量 905cc
最高出力 36ps
最高速度 76km/h
変速機 選択摺動式および常時咬合式前進4段・後退1段
燃料消費率 18.5km/L
サスペンション前/後 コイル/リーフ
ブレーキ前/後 なし/ドラム
タイヤ前/後 5.50-16-6PLY/6.50-16-8PLY


初出:ノスタルジックヒーロー 2014年 12月号 Vol.166(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1959年式 ヂャイアント AA26F(全4記事)

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text : NOSTALGIC HERO/編集部 photo : RYOTA-RAW SHIMIZU/清水良太郎

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