ジルコンブルーのボディカラーとダークグレーのルーフパネルの理由|1969年式 トヨタスポーツ800 Vol.3

防眩処理されたインパネ回り。メーター回りの黒色アルマイトリムもレストア済み。純正ステアリングは修復中で、一時的にナルディクラシックを装着。

       
【1969年式 トヨタスポーツ800 Vol.3】

 もちろん、この作業には実車考察、再現力、当時の技術の時代考証、素材の吟味、寸法、風合い、質感までも追求した技術が必要。これらを理解した経験豊かな職人が腕をふるう。こうしてできがったスポーツ800は新車時以上の輝きを持つクルマに仕上がったのだ。

 ビンテージカーヨシノ社長の芳野正明さんは、創業以来42年にわたりトヨタ2000GTを中心に、旧車のレストア、修理に携わってきた。

 旧車オーナーとともに試行錯誤しながらも真摯に旧車と向き合ってきたビンテージカーヨシノ。その集大成ともいえるレストレーションがかけられたこのスポーツ800は、旧車を後世に残していくための、ひとつの「答え」とも言えるものだろう。

後期型だけに設定された特別なジルコンブルー。

 68年2月に行われたマイナーチェンジにより、ボディカラーが追加された。それが、今回の撮影車両のボディカラーであるジルコンブルー。トヨタスポーツ800はセミノールレッド(赤色)、アメジストシルバー(銀色)という2種類のボディカラーが存在しており、追加されたカラーも宝石の名前が入ったものとなった。

 ちなみにルーフパネルは、どのボディカラーの場合もダークグレーとなっている。その理由として、取り外してトランクルームに収納する際に、塗装を傷める可能性が高いため、どこでも手に入れやすいように「金物屋でも手に入る色」として発注したと、本誌別冊トヨタスポーツ800&トヨタパブリカ大全のインタビューでスポーツ800開発主査の長谷川龍雄さんが答えている。



外装と同じように仕上げられたエンジンルームなど【写真7枚】

1969年式 トヨタスポーツ800

トヨタスポーツ800 記事一覧


1969年式 トヨタスポーツ800(UP15)主要諸元
●全長3610mm●全幅1465mm●全高1175mm●ホイールベース2000mm●トレッド前/後1203/1160mm●最低地上高175mm●室内長785mm●室内幅1250mm●室内高965mm●車両重量580kg●乗車定員2名●登坂能力sinθ0.441●最小回転半径4.3m●エンジン型式2U型●エンジン種類空冷水平対向2気筒OHV●総排気量790cc●ボア×ストローク83.0×73.0mm●圧縮比9.0:1●最高出力45ps/5400rpm●最大トルク6.8kg-m/3800rpm●変速比1速4.200/2速2.400/3速1.550/4速1.125/後退4.333●最終減速比3.300●燃料タンク容量30L●ステアリング形式ウオーム・セクターローラー式●サスペンション前/後ウイッシュボーン・トーションバー/非対称半楕円板ばね●ブレーキ前/後ツーリーディング/リーディングトレーリング●タイヤ前後とも6.00-12-4PR●発売当時価格59万2000円

掲載:ノスタルジックヒーロー 2013年6月号 Vol.157 (記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

text :Nostalgic Hero/編集部 photo:MAKOTO INOUE/井上 誠

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