1年がかりのレストア! 請け負ってくれる工場が見つかった。そして3台の1600GTを所有するコトに|1968年式 トヨタ1600 GT5 Vol.3

オーナーの好みにより、ボンネットがツヤ消し黒で塗られている。オリジナルはボディと同色のペイントだ。

       

【1968年式 トヨタ1600 GT5 Vol.3】

画像からは信じられないかも知れないが、今回の取材車両のオーナーである野﨑喜文さんが、愛車と出合うきっかけは、旧車好きの知り合いから聞いた、次のような何気ない一言だったという。

「あそこの解体屋にトヨタ1600GTが置いてある」

当時は1600GTの判別も出来なかったという野﨑さん。

しかし、解体屋のクルマに興味を持ったので、さっそく教えられた解体屋に行ってみるとボディの色が褪せたトヨタ1600GTがあったという。
状態は決してよくなかったが「1、2年乗ることができればいいか」と軽い気持ちで購入を決め、自宅まで運んできた。

乗っているうちに愛着がわいて、純正パーツをこつこつと集め始めた結果、外装、内装のほとんどのスペアパーツを確保し、レストアをしようと考えたがそこで問題が発生する。

「今でこそ旧車のレストアは、板金塗装屋の仕事として受け入れられるようになりましたが、当時は作業効率のいい仕事を優先していたようで、1年とか1年半も時間がかかるものは、みんなやりたがりませんでしたね」

 そんな中、唯一要望を受け入れてくれた会社が、神奈川県相模原市にある永遠ボディーだった。今でこそ永遠ボディーと言えば、質の高いレストアをする会社としてクラシックカー愛好家の間でその名が知られているが、実はレストア事業が発展する先駆けとなったクルマが、この野﨑さんの1600GTだったのだ。

「車体と一緒に、2トントラックの荷台いっぱいのスペアパーツを持ち込んで、レストアをお願いしました」

 この1台をきっかけに、野﨑さんは1600GTの魅力にどっぷりとはまってしまった。

現在はJCCAクラシックカーレース参戦用のレース仕様と、2シーターにして改造車検取得を予定しているライトチューニング仕様、計3台の1600GTを所有している。一方、オーナーズクラブの活動として、製造廃止部品の製作にも取り組むなど、旧車ライフを大いに楽しんでいる。


RT50コロナHTとの外観上の識別点は少ない。1600GTの専用装備としては、砲弾型フェンダーミラー、リアピラー下部のエンブレム、そして左右のフロントフェンダーに付けられた、エアアウトレットなど。


「アローライン」の愛称を持ったコロナHT。そのボディを共用して生まれたのがトヨタ1600GTだった。時代を超えた美しさを感じる。


トヨタ2000GTのテーマカラーが赤だったのに対して、1600GTは青となった。


フロントシートは、トヨタ2000GT前期型とよく似たデザインで、ヘッドレストが付かないリクライニング・バケットシートを採用。前席のみ2点式シートベルト(カタログでは安全ベルト)が標準装備だった。


後席はシートバックが立った簡素な仕様で、前席にパターンを似せたビニールシートとなっていた。


RT40/50系コロナは、リアのナンバープレートの裏に給油口があったが、1600GTも同じレイアウトになっていた。

ノスタルジックヒーロー 2013年2月号 Vol.156(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)



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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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