【3】「道端の側溝か何かにはまり、横倒しになった」小学生の頃から家にあるミゼット|歴代ミゼットのガレージ Vol.3

山口さんがふだんの足として使っている64年式ミゼットMP5前期型。

       
日本の自動車史の中で、その発展の礎となったクルマがオート3輪だ。

1950年代後半、舗装されていた道路も多くはなかった頃、土ぼこりを巻き上げながら走る3輪トラックは、日常風景として当時を知る人々の記憶に残っている。なかでも小さくて愛きょうある顔を持つダイハツ・ミゼットは、酒屋や米屋など商店の配達のクルマとして、縦横無尽に活躍していた。

「うちの家業が燃料屋だったので、父が毎日、炭や薪、そしてプロパンガスのボンベなどをミゼットで配達していました」と話すのは、歴代ミゼットMPのオーナーである山口浩文さんだ。


 毎年パシフィコ横浜で開催されている「ノスタルジック2デイズ」の会場内では、本誌表紙カメラマン、谷井功さんが撮影スタジオを開設し、展示車両と一緒に写真に収まることができるが、その第4回目のノスタルジック2デイズでスタジオに置かれたミゼットMP5鈴木オート号は、実は山口さんの収蔵車なのだ。


 子どもの頃から、ふだんの生活の中にあったミゼットだが、山口さんにとって忘れられない記憶があるという。


「配達で使っていたミゼットを母が運転していて、道端の側溝か何かにはまり、横倒しになったことがありました。その状態から母がひとりでミゼットを起こして、家に帰ってきました。そんな簡単に起こせるんだと、びっくりした覚えがあります」

 ケガがなければ笑い話で済まされるが、当時はオート三輪がひっくり返った話がときどき聞こえてきたそうだ。


小学生の頃から家にあり、配達などの仕事で使っていたミゼット。左右のドアには「山口商店」の年季の入った文字が付く。


ミゼットMPの保管場所の隣にある、山口さんの作業場。決して広くはないが、小さなミゼットを整備するにはちょうどいいサイズの空間。



サンドブラストマシンや各種のハンドツールも備え、パーツの加工や製作など、ひととおりの作業ができるようになっている。



趣味に没頭することで、仕事の疲れもいやされる。山口さんにとって大切な場所なのだ。


長い間倉庫に入れてあったのだが、山口さんが復活させた。


ちょうど山口さんがMP5のエンジン&ミッションをオーバーホール中で、単体で見せていただくことができた。空冷2サイクル単気筒、305ccのパワートレーンは、ご覧のようにとてもコンパクトでシンプル。12ps/4500rpmのパワーを発揮する。


保管場所の壁には、映画のポスターのほか、取材で過去に掲載された時の記事などが、額に入って飾られている。


オーナーが持つミゼットのエンブレム・コレクション。右上から時計回りに、MP5前期型、MP5後期型、MP4&5輸出用、MP4前期&後期型、MP2&3前期型、そして一番上がMPA専用。


壁に貼られているダイハツミゼットクラブのフラッグ。


これも珍しいコレクション。当時物のダイハツショップの登録証プレート。


掲載:ノスタルジックヒーロー 2012年8月号 Vol.152(記事中の内容はすべて掲載当時のものです)

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text:Nostalgic Hero/編集部 photo:Isao Yatsui/谷井 功

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