世界初の機能がついたシルビア【1】S20型以来の4バルブDOHCエンジンが搭載された4代目|1985年式 日産 シルビア クーペ RS-X

シルビアのグリルは格子状だが、ガゼールはハニカム形状になる

       
【1985年式 日産 シルビア クーペ RS-X VOL.1】

 S20型以来の4バルブDOHCエンジンとして、DR30スカイラインに搭載されたFJ20型。同ユニットはそのほとんどを新設計とし、ハイレスポンスとハイパワーを実現するためにボアストロークを89×80㎜というショートストロークに設計。加えて、クロスフロー方式とペントルーフ型燃焼室のほか、市販車世界初のシーケンシャルインジェクションを搭載した。

 また、耐久性と高回転時の信頼性を高めるためにタイミングベルトを2段式チェーンとし、冷却性向上のためにウオータージャケットが隣接するフルジャケットシリンダーを採用。DOHC4バルブという基本設計だけではなく、細部にまで考え抜かれたハイスペックエンジンだったのだ。

 このFJ20型を搭載したDR30は、 今ではハチマル世代を代表する1台。 それゆえFJ20型と言えばDR30を連想する人が多いと思うが、シルビア/ガゼールに搭載され、RSを名乗っていたことを忘れてはいないだろうか。初めて搭載されたのはS110で、R30が登場した翌年にデビュー。その後、フルモデルチェンジしたS12にも継続して採用され、S110では未設定だったターボ仕様もラインナップされた。

 1983年に登場したS12は、初代から継承されたスペシャリティーカー的な要素を持ちつつ、スポーティーなイメージがより強調された。それは、リトラクタブルヘッドライトを採用したシャープなフォルムを見れば一目瞭然だ。
さらに、キーレスエントリーシステムや世界初のチルトアップ機構付き電動ガラスサンルーフ、リトラクタブルと組み合わせれたヘッドライトワイパ ーなど、時代を先取りした装備も見どころ。しかし、高めの価格設定だったことも災いし、ハチロクやDR30のような人気を得るまでには至らなかった。

>>【画像16枚】低いボンネットのS12にFJ20型を搭載すると、ボンネットにエンジンが干渉してしまう。それを防ぐために設けられているのが、ボンネット上の大きなパワーバルジ。そのような経緯なので、ターボだけでなくNAエンジン搭載車でも装備された

【2】に続く

スペシャリティーカーとしての一面を持つだけに、ソフトパッドを用いてステッチを入れるなど、質感も高いインパネ。ステアリングはナルディ・クラシックを装着する。
>> スペシャリティーカーとしての一面を持つだけに、ソフトパッドを用いてステッチを入れるなど、質感も高いインパネ。ステアリングはナルディ・クラシックを装着する。


リアのスピーカーボードには、中央にアンプ、その左右に計6つのスピーカーを設置。すべてソニー製だ。
>> リアのスピーカーボードには、中央にアンプ、その左右に計6つのスピーカーを設置。すべてソニー製だ。

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1985年式 日産 シルビア クーペRSーX

主要諸元 SPECIFICATIONS

シルビア クーペ RS-X(US12)
●全長×全幅×全高(㎜) 4430×1660×1330
●ホイールベース(㎜) 2425
●トレッド前/後(㎜) 1390/1425
●車両重量(㎏)  1140
●エンジン型式  FJ20E型
●エンジン種類 直列4気筒DOHC
●総排気量(cc) 1990
●ボア×ストローク(㎜) 89.0×80.0
●圧縮比 9.1:1
●最高出力(ps/rpm) 150/6000
●最大トルク(㎏-m/rpm) 18.5/4800
●変速比 1速3.321/2速1.902/3速1.308/ 4速1.000/5速0.833/後退3.382 最終減速比 4.111
●ステアリング ラック&ピニオン サスペンション前/後
●ストラット/セミトレーリングアーム
●ブレーキ ベンチレーテッドディスク/ディスク タイヤ 195/60R15(前後とも)
● 発売当時価格 224.0万円

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【2】に続く

初出: ハチマルヒーロー 2018年 3月号 vol.46
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1985年式 日産 シルビア クーペ RS-X(全2記事)

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TEXT:Rino Creative/リノクリエイティブ PHOTO:HIROTAKA MINAI/南井浩孝

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