旧車はデリケート。現代のクルマよりもずっと繊細だ。ここで紹介するのはプロ直伝の、旧車に効く「メンテナンス」、役立つ「トラブルシューティング」。
貴重な旧車を、大切に、長く乗りつづけるためにも、ぜひ参考にしてほしい。
【プロ直伝メンテナンス&トラブル解決術 vol.1】
「いつまでも大切にしたいから、雨の日は絶対に乗らない」。そう話す旧車乗りは多い。確かに旧車に雨は大敵。そして、それと同じくらい気にすべきなのが、日頃のメンテナンス。日常的に使うことがなく、さほど走行距離が伸びないとしても、旧車のメンテナンスの重要度は最近のクルマよりずっと高い。造られてから年月がたっているぶん、パーツの劣化は確実に進んでいて、トラブルを起こす可能性も高い。旧車は錆びやすいだけでなく、デリケートで壊れやすいことを意識して付き合うことが大事だ。
ドラッグマシンに、サーキットレース仕様。旧車をハードにチューニングするプロショップナカガワの中川英明さんは「旧車にかかわらずメンテナンスのスタンスやから」と、今回レクチャーしてくれたプロ技も、すべてがクルマに負担をかけず、ダメージを与えないため、トラブルを未然に防ぐ先手を打ったメンテナンス手法だ。
>> 【画像40枚】初級編から上級編、 お役立ちツールまで【2】に続く防錆効果もある浸透性潤滑剤を活用!>> プロ仕様の潤滑剤は浸透性が抜群。錆びついたマフラーのボルトに、瞬間凍結による温度差を利用し潤滑剤を浸透させるものもある。防錆性のあるものはピロボールのメンテナンスにも効果的。動きが良くなり一石二鳥の効果だ。
>> 旧車のネジやボルトは、固着したり経年劣化で弱っていることが大半。負荷を与えないためにも潤滑油は欠かせない。なお潤滑剤は必ず、浸透性のいい高性能なものを使う。プロは用途で使い分けるほど重要なツールなのだ。
スレッドコンパウンドでネジ山のカジリを防止>> スレッドコンパウンドは、高温高荷重によるボルトやナットの固着防止用グリースで、エキマニやマフラーの取り付け等に使われる。中川さんによると、このスレッドコンパウンドの使い勝手が抜群らしく、いろんな部分で大活躍してくれる。
>> 銅粉を主体とした金属粒子と極圧剤により、高温高荷重によるカジリや溶着を防ぐスレッドコンパウンド。ペーストタイプとエアゾールタイプがある。
>> つけ過ぎは禁物。中川流の使い方は、ラスベネで薄めて、筆で塗るのがコツ。また、用途に合わせて希釈具合も変えるそうだが、塗りすぎはNG!
【初級】ホイールナットのメンテ>> ホイールナットのガジリ防止はビギナーに手軽に実践できるオススメの活用法。ナットの当たり面に塗っておくだけで、固着が防げ、同時にサビも防止できる。当たり面が同一材質であれば、ガジリ防止効果はさらにアップ!
>> スレッドコンパウンドは超微粒子。少量で十分な効果が得られる。ホイールナットは当たり面に塗る。粘度は8割程度の固さだ。
>> 筆でごく少量つけて、指で薄く塗りのばすイメージ。ボルトを締めた時に、まわりからハミ出すほど塗ると、ホイールが汚れてしまうので、薄く塗るのがコツ。
>> ハブ側のボルトにも塗っておくと安心。ナットを緩める作業がグンとラクになり、さらに締め付けトルクを一定に保つ効果も得られる。
【中級】こんな場所にも塗る>> プラグは「焼きつきやすいロングタイプ」のみ、中川さんは必須としている。
>> エキマニやマフラーのボルトやネジには必ず使う。小さなナットには薄めたモノを少量、ナット座面にも筆で点付けする。ナットを締めることで延びるイメージだ。
>> 小さなボルトには筆で薄く塗りのばす。
>> ピロボールのロッドエンドには比較的たっぷり塗ることで、雨などの浸入を防ぐシール材としても機能させる。
【上級】車高調の内側のネジ山>> 雨や泥汚れにさらされる車高調のネジ部も固着しやすい部分。「雨の日は乗らない」という人も、ケースの内側にはシール作用をかねて塗っておくと、調整する際にスムーズに動かせる。ただし、ネジ山が露出している部分には、泥やホコリが付着してしまうので塗らない。
【上級】ミッションのレリーズフォーク、ピボットにも!>> 上質なグリースとしても確かな機能を発揮してくれる。ガジリ同様、同じ材質のものが触れ合う場所に特に効果的で、ミッションのレリーズフォークやピボットはその代表格。薄めずにそのまま使う。かなりの上級者を対象としたノウハウだが、クラッチの操作フーリングが良くなり、摩擦を抑えパーツの寿命を延ばす効果もあり!
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PROSHOP NAKAGAWA/プロショップ ナカガワ
TEL079-272-3883 https://more-drive.jp/
【2】に続く初出:ノスタルジックスピード 2020年 2月号 vol.23
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)
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