1JZクラウンバン【5】灼熱の渋滞。クラウンがオーバーヒートしてしまったワケ|1969年式 トヨペット クラウンバン

東名のカムギアをオープンにしていることから推察できるように、中身にも手が入れられており、ヘッドのフル加工、バルブステム打ち替え、スリーブホーニングなどを行っている

直列6気筒のM型、もしくは4気筒のR型が標準設定だった50系クラウンに、同じトヨタの直列6気筒ユニットである1JZ型を換装するのはよく知られた方法だ。だが、ただ積んだだけでは、思わぬ落とし穴が! 失敗を経て見事に復活をとげた前期型バンの改善策から、クラウンカスタムの明るい未来が見えてくる!

【1969年式 トヨペット クラウンバン Vol.5】

【画像23枚】カップリングファン採用により、エンジンスペースが拡大することに。そこでワンオフのラジエーターはコアサポートを切って、その中に埋め込むスタイルをとった

「50系クラウンの純正位置に1ZJ型エンジンを積む場合、長さの違いにより、カップリングファンが収まりきらないのです。そこで、冷却容量を十分に計算したうえで電動ファンに交換したのですが、オーナーのように渋滞の多い東京都内で乗ると、想定以上の温度まで上昇してしまいました。

そもそも50系クラウンは、M型エンジンの両脇からクルマの下側に熱を逃がす構造なのですが、幅のある1ZJ型に載せ換えたことで、その両脇が埋まってしまいました。

また、車高を落としたことで、下側を流れる風量も減少。これに近年の猛暑も加わり、いかに電動ファンといえども冷却力のキャパを超え、モーターの故障、ファンシュラウドの樹脂が溶けたためにファンがラジエーターに突き刺さるなどのトラブルを引き起こしたのです。


>>エアコンのコンデンサーはフロントグリルとコアサポートの間に配置した。もちろん、冷却効果とエンジンルーム内をシンプルに見せるための工夫からだ。


>>整備性を考えて2分割式にした3-2-1のタコ足は、レース関係のパーツを手がける会社でワンオフしたステンレス製だ。

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【6】へ続く

初出:ノスタルジックスピード vol.024 2020年4月号
(記事中の内容は掲載当時のものを主とし、一部加筆したものです)

1969年式 トヨペット クラウンバン(全7記事)

TEXT:HIDEO KOBAYASHI/小林秀雄 PHOTO:MOTOSUKE FUJII(SALUTE)/藤井元輔(サルーテ) COOPERATION : MIZUKAMI AUTO/水上自動車工業

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